ギブソンRB-250

‘60年代からバンジョーに親しんできた者にとってこのRB-250というモデルは絶対的存在だろう。

それも、’70年代以前のいわゆる「ボウタイ」といわれるインレイのもの。

まだ情報を得るのが極めて難しかった時代。ほとんどはレコードのジャケットでしかお目にかかれなかったアメリカ製のバンジョーは本当に遠い存在だった。

確かブラザース・フォーが何かのジャケット写真で持っていたような気がする。しかし、当時、フォークをやっている人たちの主流は何といっても、ヴェガのロングネック、ピート・シーガー・モデルだった。

ロングネックって今見たら極端に長く見える。あのころは写真などでも良く見かけ、これが当たり前だと思っていたのでそんなには感じなかったのだが。

そうこうしている間に、バンジョーもそこそこ見かけるようになり、RB-250を店頭に飾っている店も出現した。

そのせいか、ギブソンと言ったらRB-250という観念が生まれたのは極自然の成り行きかもしれない。なんといっても初めて見る本物がRB-250だったのだから。

しかし、‘70年か‘71年か、そこらへんでRB-250も大幅にモデル・チェンジしている。詳しくは京都の小野田博士にでも訊いてください。

印象的だったのが、友人の一人がRB-250を欲しくて、神戸のある有名なバンジョー弾きに頼んでいたところ、やっと手に入った、という連絡をもらい、それが送られてきた。

本人はわくわくしながら「待ちに待ったボウタイ…」と、ケースを開けたら、見たこともないバンジョーが入っていたのだ。

ペグヘッドの形も、インレイも…もはやそれは僕らの知っているRB-250ではなかった。

因みにモデル・チェンジ以後のペグヘッドの形は「フィドル・シェイプ」というものだが、それ以前のものは「生え叩き」(Flyswatter)と言われる。

インレイに関しては、ボウタイに対して‘70年以降のものは「スタイル3」という。

本人は結構がっかりしていたが、それはおそらくモデル・チェンジしたRB-250の日本上陸第1号だったのだろう。それが確か‘71年ころだったような気がする。

今、ボウタイを探すとしたら中古でしかないのだが、僕は少し前に‘66年のものを手に入れた。

全てがオリジナルではないので安かったのだが…いや安くなければ買わないが…。

憶えているだろうか。坂庭君が「花嫁」のジャケットでRB-250を誇らしげに持っている姿を。

そして、今、僕もホームページのトップ写真で誇らしげに抱えている。

誰もが、憧れる「誰か」みたいに弾きたい!と思っていた時代。来る日も来る日も想像を張り巡らせて、同じバンジョーを手に入れる夢を追いかけていた時代。

RB-250はそんな時代のひとつの象徴である。少なくとも僕にとって。