2016年 アイルランドの旅 15

もうすぐ7月も終わる。日本では記録的な長梅雨だということを聞いた。

僕らは来週から、ゴールウェイ、フィークル、ブリタニーと出かけ、またカーローに戻り、そしてゴールウェイに戻り、とかなりあっちこっち動きまわる。

その間にエニス、コークなどにも会いたい人たちがいるが、予定をすり合わせてみても無理かもしれない。

ここでもずいぶんたくさんの人に良くしてもらった。たくさんの地元のミュージシャンとも知り合えた。

80年代、カーター・ファミリーと過ごしたバージニアの世界とこことは本当に共通したものがある。

だいぶ前(70年代だったかな)スタンレー・ブラザースがどんなところで育って、その環境が彼らの音楽にどれほどの影響を与えたか、というようなことをある本で読んだ。

ジョー・カーターと山へ山菜を採りに行き、谷間に群がるカラスにジョーが彼らの鳴き声を真似ると、みんなこちらに向かって一目散に飛んできた。

鬱蒼とした山路には、南北戦争の時代の薬莢や、先住民が残していっただろう石の道具のかけらなどが落ちていた。

そんな山歩きや、川での夕食用のなまず釣り。それはまるで、あの本で読んだスタンレー・ブラザースの生活と同じものだったかもしれない。

そして、それらはここでの生活とあまり変わりはない。

ましてや、一仕事終えてからの音楽は全く一緒だ。ただ、あそこでビールなどを飲んだ覚えがないが、それは彼らの宗教的なものだったのだろうか。

いずれにせよ、あまりにディープな世界に入ってしまうと、かえって「これはこの人たちの音楽なんだ」ということを明確に感じてしまう。

だからこそ、きちんと取り組みたいと思うのだ。

そんな気持ちを再び確認しながら、フィークルでの演奏に向かいたい。

今年はCD (Through The Wood) のラウンチをやらないか、という打診が主催者からあった。

あといくつかのセッションホストの仕事。またまた眠れない日が続きそう。

体調をしっかり整えておかなくちゃ。

昨日、ジョンがまた鮭を持ってきてくれた。鮭茶漬けを食べればまた元気百倍かな。

このカーローにも素晴らしい人たちがいた。

素晴らしいお仕事をされているレイコさんとそのお友達。2mは優にあるチェコから来ているお姉さん。オーストラリアから来て、沢山の車と動物とで、とんでもなく広い空き地みたいなところに居を構えるヒッピーのようなお姉さん。フランキー・ギャビンの近所で育ったという、何から何まで気配りの素晴らしいお兄さん。

元気いっぱい、親切いっぱいのジョンとその仲間たち。

僕らに演奏の場を与えてくれたホテルの支配人、ジェームス。

そして、キアラン君とそのご家族。

カーローは確かに人里離れたようなところかもしれないけど、ここには温かい人たちがいっぱいいました。