2016年 沖縄 石垣島 そして竹富島

今回はギグではなく友人に誘われるがままに、クリスマスを南国で過ごすことにしてみた。

ちょうどアイルランドからキアラン君が来ていたので、できれば地元の音楽を聴けたらいいな、と思っていた。

沖縄には返還直前の1972年に行ったのが初めてだ。もう記憶には薄いが、本部の野外でなんか船の前で演奏したと思う。

1985年にはかまやつさんと二人で九州と沖縄をまわった。

その時の印象は強烈だ。コザに出掛け、当時すでに解散していただろうか、コンディション・グリーンの人達と一緒に演奏した。

ベトナム戦争はもうとっくに終結していたが、当時の熱い話をいろいろ聞くことが出来たわけだ。

そして2000年ころだろうか。省悟とふたりで行った沖縄は飲み過ぎた覚えがある。と言いながらよく覚えていないくらい飲んだ。

しかしながら、石垣島、竹富島は今回が初めて。

特に、アイルランドに非常に詳しい古矢さん、早野さんにとって、この竹富島もほとんど故郷といえるくらいの場所なので彼女たちに任せておけば間違いない、とキアラン君にも伝えておいた。

気温25℃ほどのやわらかい風が心地いい。確かに「ざわわ、ざわわ」とサトウキビ畑から声が聞こえてくるようだ。

僕らは民宿「マキ」に着いた。ザ・竹富といえるくらいのお母さんが、数日前に腕を骨折したにも関わらず、満面の笑みで僕らを迎えてくれる。

骨折のほうはもうかなり良くなっているという話だが。

とにかく、気候は僕には少し暑いけどその程度でとても気持ちがいい。なんといっても風がさわやかだ。

それに島の人達がいい感じだ。そこに猫だ。

キアラン君も初めてなので目をくりくりしている。

そんなこんなで夜になり、さて、彼女たちが昔から良く知っている糸洌さんの三線と歌を聴く。

例えば、アイルランドの特にゲール語地区で、歌の謂れを聞いてからその歌に耳を傾ける、それと全く同じ光景だ。

そして民宿「マキ」の息子さん(忍さん)による一期一会と歌と三線。こちらもめっちゃ良かった。

ぼくらも3人でトラディショナル・アイリッシュ・ミュージックを披露する。

みんなが「こんなの生で聴いたの初めてだ。すごい!」と言ってくれた。近いうちに竹富に来てもう一度、今度は島のみんなにも聴いてもらいたいから、と促された。

勿論だ。僕らも島に伝わる古い歌をもっともっと聴きたい。

時の流れが、穏やかな海の波のようにゆっくりと漂う中、陽がどっぷりと暮れてきて満天の星をビーチで眺めた。

次の日、僕らは石垣島に向かう。波止場には民宿のみんなが見送りに来てくれている。ご近所の90歳のおばあちゃんがお別れの歌を唄ってくれる。

その歌声は波の音にかき消されることなく、波止場が遠のくまで聴こえてきた。極上の時をありがとう。

そして、石垣島ではキアラン君が海に飛び込んで思う存分泳いだ。

なんでもカーロ―ではクリスマスの日に川で泳ぐ風習があるらしい。本当かな、と思うけど、彼の家族や友人達だけではなさそうだ。

キアラン君大満足だったようだ。

この夏、彼には本当にお世話になったので、ぼくらも彼が満足してくれたらそれでとても嬉しい。

古矢さん、早野さん、どうも有難うございました。

民宿「マキ」の皆さん、本当に御世話になりました。

とてもいいクリスマスを過ごさせていただきました。