New CD Coming Soon

思い切り格好つけたタイトルですが、もうすぐ僕らの5作目となるCDを発表します。

2011年のKeep Her Lit! 2012年のMusic in the Air 2013年のThe Rambler

2015年のThrough the Woodに続くデュオとしての5作目です。

その間にGentle Wave 今風の中のセットが2017年。また2015年にアイルランド音楽の最高峰Paddy Keenan&Frankie Gavin とのEire Japanもありました。

とに角、今回またデュオのアルバムを作ったわけですが、当初2作目のMusic in the Airのようなものを考えておりました。しかし、やはり時は経っていて、あの頃とは違っていろいろとアイディアが膨らみ、いい意味で豪華な出来栄えとなりました。

但し、当初のコンセプトを踏まえた上でとても聴きやすいメロディのものを主体としております。

勿論ライナーも付いておりますが、もっと詳しい解説はHP上で掲載しようと思い、こうしてご案内を兼ね、ライナーの補足をしてみようかな、と思います。

★ Cailin Deas Crúite Na MBó (Pretty Girl Milking Her Cow)

この曲は聴いたことがある人も多いかもしれません。深夜食堂のテーマソングとして斎藤常吉さんという人が歌詞を付けて唄っていました。非常に情緒溢れるメロディで「流石日本には素晴らしく感傷的な曲があるな」と勘違いしていたアイルランド人もいたくらいです。僕らは1940年のジュディ・ガーランドのものをソースにしましたが、曲自体は古いものです。なので、敢えて原語のタイトルを表記しました。尚、歌詞はThomas Mooreが書いています。僕らが既にThe Ramblerの中でThomas Farewellとして録音しているものと同じ曲ですが、今回のアレンジは全く別の曲に聴こえるかもしれません。

★  Lost Lula  

Jason Romeroという楽器製作者(主にバンジョー)による作品です。聴いた瞬間に「あ、これ弾きたい」と思ったものです。これはCumberland Gap Tuningというものを用いて弾いています。fDGCDという並びです。オールドタイムバンジョーには数えきれないほどのチューニングがあり、それはとても覚えることができません。おそらくスタンダードチューニングとマウンテンマイナー、ダブルC、そしてこのカンバーランドギャップくらいを覚えておけばなんとかなるとは思いますが。

★  Little Bird / Gort Na Mona 

ギタリスト兼アコーディオン奏者のTim EdeyがSharon Shnnonに送った、という可愛らしい曲です。彼のステージは超絶無二のテクニックとユーモアのセンスに溢れたもので、2時間でも3時間でも、いやそれ以上聴いて、観ていられるものです。それに続く次の曲も素晴らしいハープ奏者であるMichael Rooneyのペンになるものですが、この人の音のセンスは、これまた何時間でも聴いていられるものです。僕らはどちらもハープをメインにアレンジしました。

  • Wounded Hussar / Gallowglass 

Captain O’Kaneというタイトルの方が一般的なのか、この方がよく知られているのか分かりませんが、限りなく美しい曲です。どうやらO’Carolanの曲としてCaptain O’Kaneが存在し、Alexander Campbellの詩によるWounded Hussarがあるようですが、僕らは次のGallowglassとの関連性からこのタイトルを付けてみました。Gallowglassとは13世紀ごろから16世紀にかけてアイルランドやスコットランドの族長が雇った重装備の傭兵である、ということです。因みにHussarは度々、騎兵隊の兵士という意味で使われるようです。

★ Above and Beyond  

もう存在しないCalicoというバンドのDiarmaid Moynihanが書き下ろした、日本の童謡のような曲。なんでこんなメロディが浮かんだんだろう。もしかしたら赤とんぼとか聴いたんじゃないかな、と思わせるような曲です。ちょっと「3丁目の夕陽」を想い出させる曲調だなぁ、なんて感じるのは僕だけかな?

少し沖縄風にアレンジしてみたのでハープもそれらしいものを付けてみました。

  ★ Diarmuid’s March (Each Little Thing)

Stephen Cooneyの書いた、実際にはマーチ曲です。原題にはマーチということがはっきり表れていますが、Sharon Shannonがこの曲を気に入って、彼女のアルバムタイトルであるEach Little Thingを当てはめたということです。

★ An Buachilin Ban (Dear Irish Boy) 

こういう曲はあまりギターで弾くのは…多分家で一人で爪弾くには良いかもしれないけど、なんて思っていたらある時Noel Hillが「ジュンジ、これギターで弾けよ」なんてとんでもないことを言ったので真に受けて今回録音させてもらいました。

★ Sally in the Garden / Dwyer’s 

最初はオールドタイムのバンジョーチューンです。最近まであまり馴染みのなかった曲でしたが、いろんなひとがいろんなアレンジでやっているので、僕らもちょっと思い切ったアレンジでオクターブマンドリンやビオラを入れて少し不気味な感じにしてみました。そのまま、名曲Richard Dwayer’sにビオラとギターでシンプルに入ってみました。マイナー調の美しいメロディを持ったリールです。

★ Sleibhte Pomeraig (Mountains of Pomeroy) 

もうすでにMountains of Pomeroyとしてお馴染みの曲をここでは敢えて原題表記してみました。この曲では必ず名前があがるRichard Lewis O’Mealyはパイパーですが、1934年にBelfastでの録音が残されている、ということです。West Meathで生まれた彼の恵まれなかった幼少期を思うと何故か軽々しくこの曲を演奏することをためらってしまいますが、その辺を知るか知らないかで演奏も変わってくると感じ、今回Music in the Airに続いて2度目の録音をしてみました。

★ Big Pat’s / Miller of Droghan

Cマイナー/Eフラットという変わったキーで演奏したフィドル&ギターの基本的な僕等らしい仕上がりの曲。なぜか終わると同時にアイルランドの放送局のジングルが入りそうな出来栄えになりました。

★ Bluemont Waltz   

フィドラーのRodney Millerによる美しいワルツ。ブルーリッジ山脈の中、Snickers Gapに位置する小さな町、ブルーモントのことでしょうか。それにしても可愛らしくて綺麗なメロディの曲です。すごく僕等らしいアレンジだと思います。

なお、ボーナストラックとしてこの2曲  Contradiction / President Garfield 

激しいリールを「せいの!」で一発録りしてみました。

使用楽器

内藤希花 Fiddle        Made in Italy circa 1890

     Irish Harp    Stoney End Minnesota USA

     Concertina    Jurgen Suttner Germany

     Viola         Gliga Romania

     Mandolin   Gibson A-4 1911

城田純二 Guitar        George Lowden O-32 & F-32

          Nylon st. Guitar   Taylor        

 Banjo         Wildwood Heirloom

                         Deering Vega

          12st,Guitar    Martin

          Octave Mandolin   Phil Crump USA

          Mandolin     Gibson A-4   1911

結構盛り沢山のこのアルバムはきっと皆さんに楽しんでいただけると思います。

また、とても優しい雰囲気の仕上がりになっていて、どちらかというとドライブ中よりもゆったりとした空気の中で聴いていただきたいものだと思いますが、最近の静かな車ならいいかも。でも眠らないようにお願いします。

取り急ぎで申し訳ありませんが、宣伝も兼ねてお知らせでした。