2019年 アイルランドの旅 3

7月27日(土)朝からいい天気。だがこういう日に限って気が抜けない。午前6時半。庭に出てみると吐く息が白い。目の前をうさぎが跳ねていく。猫が子供のモグラを追いかけている。モグラは鳴き声をあげて逃げ回っている。遠くから牛の鳴き声も聞こえるが、こちらは誰にも追いかけられていないようだ。いろんな生き様があるなぁ。

昼すぎても全く曇ってくる気配もなく、結果的には今日は素晴しい天気だった。日陰は半袖では寒く、日向に出ると心地よい日差しが体を包んでくれる。

夕方からケビン・バークの弟さんの工房に出かけた。バイオリンの弓作り職人として、世界中で高名になっている人だ。

2年前に希花さんがオーダーした弓が「出来上がっているよ」と彼から連絡が入ったので、此れ幸いと出かけて行った。それも彼の住んでいるところがカーロウ市内なのですぐ行けるのだ。しばし歓談して、少し演奏もして帰ってきた。

ま、そんなこんなでそれから友人とゆっくり11時くらいまでディナーを楽しんだ。やっと外が暗くなってきた。

7月28日 (日)晴れ。まだ時差ボケが抜けないのか、遅くまで明るくて時間の感覚がつかめないだけなのかよくわからないが、体もだるいような気がする。歳のせいもあるかもしれない。

昼からフィドラーのデイブ・シェリダンと街に出かけた。

気持ちのいい1日だったが、日本では軽く30度超えているだろう。問題は湿気だ。

ここは湿気が本当に少ない。ギターの鳴りが全く違う。だが、湿気の問題だけではなさそうだ。空気の密度も濃いような気がする。空間が多いのかな。

例えば同じ部屋でも100人が入っている時と誰も入っていない時では音の抜けが違うだろう。そんなことなのかな?

よくわからないが、今日も全ての楽器が良く鳴っている。

いつもここで聴くフィドルのサウンドには日本とは違うものを感じるが、今回は弓が変わっているせいか出てくる音がさらに太く感じる。本人も言っているが、不思議な感触らしい。全く力を入れることなく最大限の深みが出る、ということだ。

彼は人それぞれのスタイルに合わせて作るらしいが不思議なことに彼自身はフルート奏者でフィドルは弾かない。なのにどうしてそれぞれのフィドル・スタイルに合わせたような弓が作れるのだろう。そして更に不思議なことに、それが世界で非常に高く評価されているという事なのだ。

唯ひとつだけ考えられるのは何をおいてもケビン・バークの弟ということなので、弾いた事ないけど弾いてみたらすごく上手かったりして。隠してたりして。な訳ないかな。

弓についての詳しいことは希花さんがどこかでお話ししてくれるだろう。何せバイオリンに於ける弓は楽器の一部だ。僕のギターよりも高額なんだから。