駅前

選挙運動が始まった。僕は駅近くに住んでいるのでこの時期はどこかへ逃げ出したくなる。

駅は、当たり前のことながら人の出入りが多いのでここぞとばかり、大声で、このコロナウイルスが蔓延している中、唾を飛ばしている。

その声たるや、窓を閉め切っていても、部屋の中のテレビの音が聞きにくい。

中には窓が振動するくらいの大声で張り叫ぶ奴も居る。女の人の声はプラス甲高い、ときている。

こちらにも聞く気が無いので何を言っているのかさっぱり分からない。時々ハウリングを起こす奴とか、これは許可を得ているんだろうからこちらは文句を言えないが、駅付近は行きかう人だけだと思っているのだろうか。住んでいる人がいるかもしれない、という想像力があれば、そんなに大きな声を出すことはしないだろう。

300mほど離れた閉め切った部屋で聞こえるんだからそこそこ道行く人には聞こえているだろう。

ということは、恐らく誰も聞いていないだろう、ということを前提に喋っているんだろうか…いや、そんなことはないだろう。

随分前になるが、ある時、駅ビルから出たら頭が割れそうな大音量が大地を揺るがしていた。近くにいたはっぴを着た運動員に「ちょっとでかくない?」と云ったら「はい、わたしもそう思いますがもうすぐ終わりますんで…」という答えが返ってきた。

そういう問題ではないだろう、と思いながらそれ以上のトラブルは避けたが、本人は耳栓でもしていたんだろうか。

女性だったが、誰だったんだろう。音の壁みたいのが出来ていて名前すらわからなかった…って大げさかもしれないが、それほどの大音量だった。

早くその場を立ち去らないと身体に悪いと思ったのだ。

昔、シカゴというブラスロックの連中は耳栓をしてステージに立っている、という都市伝説まがいの話があったが…本当かもしれないし、良く分からない。

とに角、当選を見据えた都合のいいことは言っている。当選したら万歳をして、後はあまり目立たない程度に政策に関わっていれば安泰、というところだろう。

アイルランドの友人が、今回のコロナ騒ぎで日本政府のダメ振りが分かって国民、特に若い人達がもっと政治に関心を示すようになれば…と言っていたが、そのレベルをはるかに超えるような、嘘、隠ぺい、不正がまかり通っているので、そこのところもあまり期待は出来そうにない。

ま、しばらくは我慢するしかないのだが、それと今年はやっぱりこういう状況なのでいつもよりは静かなような気もする。

これを機に新たな選挙運動様式みたいな、Silent Speechなんていいんじゃない?小池さん好きそう。