Irish Musicその165

Leaving of Liverpool     (England)

これはイギリスの古いバラッドだといわれている。ダンスチューンとして演奏されることはまずないが、最近九州の友人が自身のグループで演奏している映像を送ってきてくれたことで思い出した。

彼等のスタイルはブルーグラス。ご機嫌な演奏。そしてタイトルはFare Thee Wellだ。

僕等もフォークソングをやっていた60年代、これはボブ・ディランの作った曲、という認識で唄っていた。MFQが素晴らしいアレンジで唄っていてよくコピーしたものだ。

それが、元々はLeaving of Liverpoolという古いバラッドだと知ったのは後の事だ。

どうやらボブ・ディランは1963年の1月に2週間ほどロンドンに旅した時に仕入れたらしい。

とても美しいメロディだったのでそこに彼なりの詩を宛てたのだろう。元々の詩にも比較的近いものがあるが、リバプールを去ってアメリカ大陸に向かうストーリーに対してディランのものはいわゆるホーボーソング仕立てになっている。

バラッドでは「私はあなたの元を去るのではなく、必ず戻って来る。そしたら一緒になろう」と唄うが、ディランは「あなたのことはずっと想っているけど、いつ帰るかは分からない」と放浪者の心の内を唄っている。