2022年 アイルランドの旅 10

本当に山の天気だ。娘さんよく聞けよ♪

娘さん、というと何故か昔の感じがする。

ナターシャーの頃、高石氏が「道しるべ」と言っていたが「今は道路標識ですよ」と言ってみんなで大笑いしたものだ。

同じく娘さんというと、どこかおさげ髪に赤いほっぺの…モンペをはいたようなイメージがある。

戦後、結婚してすぐアメリカに渡ったスージーさんが「写真機持ってきた?」と言って「カメラならあります」と言った奴もいた。

そんな風に言葉も時代とともに変化していく。

えーっと、何の話だったかな。

そうそう、晴れていると思ったら急に降ってくる雨。そしてまた急に止む。かと思えば瞬間的に激しい雨。そしてまた晴れる。

その晴れ間を狙ってフランシスが連絡をくれる。

すぐ近くのパブで午後4時半からセッションだ、と。

その時間ならそんなに悪くない。以前、希花さんが行ったら、僕もよく知っているケビン・ホークがいたよ、と言っていたセッションだ。

彼はアンドリューのバンドでサンフランシスコに来たギタリストで僕も大好きなおじさん…いや、僕より若い人。

何となく今日はセッションというより、少しギネスでも飲んでゆっくりしたいな。たまには聴くのもいいかな、と思い、

ギネスをオーダーして、パブの入り口近くの青空テーブルのところでまったりしていた。

気持ちのいい天気。音楽もいい。

と、そこへメッセージが入った。かなこちゃんだ。

バンジョーのブライアンがギタリストを探しているんだけど6時からできる?という内容だった。

すぐ近く。楽器を取りに戻って出かけても15分ほどで事は済む。

ケビンやフランシスや他のメンバーに「ちょっと行ってくる」と挨拶して現場に向かった。

パブは例の「チコリ」あれ、ユジーンは今日はもう帰ったらしい。

演奏者の席にはブライアン・マグラーが待っていた。後バウロンの大きなおじさん。

そこにフランスからの観光で来ている母と息子。その10歳くらいの息子はこの上なく可愛い顔をしてニコニコしてフィドルを持っている。

一生懸命流暢な英語でみんなに話かけている。

セッションが始まると一緒に弾くが、多分知っている曲はサリーガーデンズとジョー・クーリーズくらい。

こちらが何をやろうが一緒に弾いているが、さすがにこちらの音の方が大きいのでほとんど聞こえない。

いや、聞こえたら大変だ。多分何をやってもサリーかクーリーズを弾いているからだ。

みんなに聴け、聴け、と言われてもニコニコして頷くがすぐにサリーかクーリーズを弾き始める。

こちらは御構い無しに次の曲を始める。聞こえないがそこでも例の2曲を弾いているんだろう。

母親はこれまたニコニコして大満足の顔をしている。

この親子、ブライアン・マグラーがアイリッシュ・ミュージックの中でどれだけ重要な人物なのか知らないのだろう。

セッションはブライアンと希花さんが強烈に引っ張り、僕も強烈にビートを刻んで2時間ほどで終えた。

バウロンのおじさんは体はでかいし、声もめっちゃデカかったのにバウロンはすごくおとなしかった、けど、いいプレイヤーだった。

終わると、あれだけ嫌がっていた彼らは少年に「とっても良かったよ」と言って褒めていた。

これ、やっぱり文化の違いかなぁ。

日本と違って、アメリカでもそうだけど、基本的に子供は「褒めてのばしてあげる」という事なんだろうか。

親子はとても喜んで帰っていったが、2人ともいや~参ったな、という顔をしている…ように見えたのは僕ら、日本人だけだろうか。

またまたパブのおごりのギネスを飲まされた。その前にすでに一杯ひっかけていたのに。

休肝日はいつになるだろうか?