いよいよ人生も最終章に差しかかるか…いやいや、もうちょっとあるか…などと思いつつ、Back to Banjoをリリースしてから半年余り。
正直Back…ではそこまで思ってはいなかった。
まぁ、アルバム作りもこれで最後かな?くらいの感じ。
それどころか、久々に弾くバンジョー、上手くいくかどうか、その方が気がかりだった。
しかし、自分としてはそこそこの出来だっただろうと自負している。
そこで次なるアルバムを、と考えたが、これだけ短い期間で作って果たしていいのだろうか…という考えもよぎった。
しかしながらタイトルだけは決めていた。次はこれだ!と。
突然、ふっと浮かんだタイトルだった。
何事も直感というものは大事だと思う。取りあえず直感で決めて後から考える。
そして他にいいアイディアが出ればまた考えればいいのだし。
でも、今回はかなり強い意志でこのタイトルが良いと思っていた。
試行錯誤して曲も出そろい、テンポも決まり、アレンジも大体こんな感じ、ということを決め、いよいよ録音に入ろうか、と言う時に高石さんの事があった。
思えば、木田高介が、そして省悟が逝き、今度は高石さん。
この不動の黄金時代のメンバーは僕だけになってしまった。勿論、他にも素晴らしいメンバーは在籍していたが。
とに角、それを感じたのは107ソングブックシリーズ11(想い出の赤いヤッケ)の4人がそれぞれの手法で描いた自画像を見た時。
「あれ、みんないなくなっちゃったじゃん…」と思わず呟いてしまった。
彼等と過ごした時間の中には沢山の小さな想い出がひしめいている。
木田ちゃんとはわずか数年間だったが非常に濃いものだったし、省悟とは18歳からだったし、高石さんはあの時、まだ29歳か30歳だった。
そんなみんなの事を思いながらも、今回のアルバムのコンセプトは当初からあくまでもBack to Banjo #2というところにあった。
それでもなにか副題として、或いは本題として何か無いかな?と思った瞬間に思いついたのがこれだった。
しかし、それにしてもJust a Little Memoryとは…なぜこのタイトルが思いついたのか自分でも分からない。
ただ、彼等の事もさることながら、アメリカで共に働いた人達の事もかなり自分の心を占めていた。トータルで18年くらいだったし、労働時間も長かったし、必然的に一緒に居る時間は相当なものだった。
いろんな国の人がいた。
特に多かったのはベトナムから来た難民たちだった。
僕らが何の苦労もなく、見よう見まねで反戦歌など呑気に歌っていた時、彼等は僕らの想像をはるかに超える過酷な状況を経験していた。
この辺のことは「アー・ユー・オープン」で「聞くも涙、語るも涙の物語」として書いてきた。
そんな風に状況は違ったが、僕らはみんなAlienだった。
これって映画のAlienと一緒だが、異邦人という意味で正式名称だ。宇宙人だけではない。
そして僕はアルバムの最初にAlienという歌詞が入ったスティングの名曲を持ってきた。
確かにこの歌はよく聴いていた。
でもいつかバンジョーでやってみよう、等とは思った事もなかった。
僕はもしかしたらこのタイトル(Just a Little Memory)に引きずられて突然このアイディアを思いついたのかもしれない。
今のところ、このアルバムは12月中旬迄には皆さんに聴いていただけると思います。
ベースには前作と同じ、河合徹三氏に参加していただきました。
今回は最初から素晴らしいサポートをしていただきました。
昔ならこう言うのかな「お、針を落とした瞬間、何かが違う」そんなアルバムに仕上がったのも徹三氏のおかげです。
Back to Banjoが売り切れ、という現状に於いて、このアルバムはBack to Banjo#2としても、Just a Little Memoryとしても、それなりに価値のあるものになると確信しています。
そしてあらためて、皆さんに感謝いたします。
発売予定日などに関しては改めてこのHP上でお知らせします。
渾身の1作、どうかご期待ください。