よく僕は食にあまり興味が無い、と言うが、食事を作るということにはとても興味がある。
そしてここ4ヶ月ほどは全て自分で作ってきたので、家庭の主婦って本当に大変だろうなと思う。
でも、今更そう思ったわけではない。以前から料理は好きだったし、その職種にも付いていたので僕自身はあまり苦にはならないが、その大変さは充分分かっていた。
レストランと云うのは、ほぼ毎日お客さんの為に同じレシピのものを提供するが、家庭では子供も居れば年寄りの居る場合もあるだろうし、好みが違ったり「またこれ?」なんて言われることもあるかもしれない。
基本的に僕の場合、アンドリューと似ていて、ハムサンドで充分。そしてキアラン君みたいになんかしながら立って食べるのもなんとも思わない。
コンサート当日も「お昼は何食べようか?時間は?」「本番前に何を食べるか?」なんて考えたこともない。
なければ食べなければいいんだし、それくらいで死にはしないだろう。
黒柳徹子さんのお父さんがそうだったらしい。「あなた、今晩のお米が無いんですけど…」と奥さんが云うと、バイオリンを弾く手を止めて「あ~、じゃぁ食べなければいいんじゃない?」と言ってまたバイオリンを弾き始めた、という話。すごく良く分かる。
さて、そんな僕でも崎陽軒の前を通りかかって「お、焼売買おうかな」と思うこともあるが、ほとんどの場合、そのままマーケットに寄って必要な物を買って自分で作る。
急に天ぷらそばが食べたくなったら、天ぷらも自分で作る。もちろんそばのつゆも。
僕にとってはカツも天ぷらも寿司も餃子も大した手間ではない。
料理で一番大事なのは衛生管理だろう。なので、餃子もハンバーグも決して手で練らない。
最終的に形を作る時はやむをえないが…。
今は異常と思えるくらいに手を洗っているが、それはレストランに居た時からの常識なので今ほどではないが衛生にはかなり気を配ってきた。
レストランの仕事で最もおおきなパーセンテージを占めるのは、仕込みと後片付けだ。
仕込みでいかに忙しさを緩和してお客さんに料理を楽しんでもらうか、そして後片付けでいかに衛生管理を徹底するか、この二つが最も重要な仕事だ。
作ることは全体の2割ほどの神経と仕事量だ、と、これはあくまで僕の感じるところ。
そう言えば、去年くらいまでは必ず冬とか夏も近くになると風邪をひいていたような記憶がある。今年は特に風邪のような症状を出してはやばい、と思い気を付けていたが、希花さんがポツンと言った。
「しょっちゅう手を洗ってるからじゃない?」ほほー!そういうもんか。勿論それだけではないが、確かに必要もない場面でも石鹸でごしごし手を洗っていることがある。
なので、やっぱり手は良く洗おう。料理には特に大切な事柄だ。
ちょっと話がそれましたね。