高松から木内君がやってきた。京都産業大ブルーリッジの後輩である。上京の目的は初孫との御対面ということ。
写真を見て「目がそっくり」というと「いや、これ眠ってます」…だそうだ。
「孫は可愛い。何と言っても責任がない。泣いてもほっとけばいいから」と、寝ている孫と同じくらいの目をして嬉しそうに話す。
可愛いだろうが、多分木内君の目の中には入らないだろう。
冗談はさておき、孫から離れたら早速バンジョー談義に花が咲いた。
僕がバンジョーに興味を持ち始めたのは1963年ころ。面白い音の楽器だな、と思いながら、それがなんという楽器なのかまだ分からなかったような時代だ。
ほどなくしてアール・スクラッグスを聴いて虜になり、その音にのめりこんでいった。当時から、バンジョーといえばギブソン、それもRB-250が自分の中では最もバンジョーらしいバンジョーだった。つい先日も40年近く会っていなかった友人たちとバンジョー談義に花が咲いたばかりだったが。
古い良質の4弦バンジョーのボディに5弦のネックを付ける、というのは良くあることで、世間一般では良い物として評価されることが多いが、元々5弦用に作られたボディに4弦のネックを付けても4弦バンジョーらしい音にならないのは何故だろう…なんていう話も出た。もっとも、これは僕の意見だが。
今度、京都のバンジョー博士である小野田君にでも訊いてみよう。
木内君は、オズボーン・チーフとオームを持っているが、「これでギブソンがあれば完璧」と、またまた目を細める。
バンジョーやギターは金さえあればいくらでも欲しいものだが、バイオリンはそうでもないらしい。
多分、どれ買っても大体同じ格好しているから、かな?勿論ギターやバンジョーとの値段の違いは歴然としているが、小さいころからバイオリンをやっている人は、ひとえに真面目だから、かもしれない。
バンジョー好きとしては、宝クジ当たったら取りあえずオール・アメリカンとフローレンタインを買って眺めるか。いや、コレクターになってはいけない。
いろんな話が飛び出す。
木内君は、その体格からかソニー・オズボーンが好きなようだ。僕はエディ・アドコックか、対局だが、ビル・キース。
勿論、ふたりともアール・スクラッグスをはじめとして、他にも好きなバンジョー弾きは数々いるのだが。
なかなか話は尽きないものだ。すっかり孫のこともそっちのけでバンジョー談義に花を咲かせて東京を後にした。
また、いろんな話に花を咲かせたいが、結局同じようなことを話すんだろうな。ふたりとも歳もいってるし、何を話したか忘れているだろうし。
春。町のあちこちに花が咲き始めた。
木内君、初孫誕生おめでとう。