先日「ダニエル・ゲーデ奇跡のレッスン」という番組をテレビで観た。
バイオリニストのダニエル・ゲーデが日本の子供たちのオーケストラの指導をする、という企画だ。
1週間で子供たちの音色に変化が出る、というものであったが、僕はかなり前に観た、フルート奏者のジェイムス・ゴールウエイのワークショップを想い出した。
男の子が「何かやってごらん」と言われ、フルートを持ってまさに演奏をしようとしたとき「ちょっと待った。君が野球でバッターボックスに立った時にどういう気持ちで相手のピッチャーに向かうかを想い出してみなさい」
と言うと男の子は「僕、野球はやりません」と答える。
すると彼は「男の子は野球をやらなくちゃ。さぁ行くぞ!という時の気持ちをこのフルートに託すんだ。だから君も野球をやりなさい」
と言った内容だった。
今回のダニエル・ゲーデも「この曲の背景は知っている?これはバロック時代に書かれたもので、その時代はほとんどがダンスの為に書かれたものだよ」
ひとつひとつの楽曲についての背景を語るというのは流石なものだ。そして彼は続ける。
「それじゃぁみんな楽器を置いて。その場に立ってダンスをしてみよう。足踏みだけでもいい。慣れてきたら身体も動かしたり手を動かしたり好きなように」
更に「次は弓の持ち方もちょっと変えてみようか。もっと短く持ってごらん」
テレビのナレーションでは「へぇ、弓の持ち方なんて変えていいんだ」という言葉が流れていた。
「短く持ってみたらなんか軽くなったようでしょ?彼はいろんな長さに弓を持って「君たちがやりやすいところを見つけたらいい」というようなことを言っていた。
子どもたちの演奏は確かに変わっていったようだが、これが続くといいなと思う。
日本と言う国はどうしてもクラシック音楽信仰が強すぎるような気がしてならないので。