僕が映画に夢中になったのは、多分母親の他界でピアノから離れてしばらくしてから。
洋画に夢中になり、ジョン・ウエインに夢中になって、コアなところではオーディ・マーフィーやランドルフ・スコットにも憧れ、そのほとんどの西部劇や戦争映画に足を運んでいた。
もちろんまだ子供だったのでシリアスな内容のものはよく分からなかったのは仕方がない。
日本映画はほとんど観なかったが、東宝の怪物ものなんかは沢山見たと記憶している。
マタンゴなどというキノコの化け物の映画はそれなりに怖かった。
あれを見てキノコが嫌いになった子供も結構いただろう。
怖い映画と云えば、これも省悟と二人で観に行った「シャイニング」
思い起こせば、赤坂の例のホテル、ニュージャパンに泊まっていた時、数日間空きが有ったので、映画でも行こうか?というノリで意気揚々と出掛けて行った。
この時も目的のものが有ったわけでもなく、何となく新聞か何かで「お、これ、面白そうじゃん」と言って出かけただけだった。
ところがこれがかなり怖かった。
その怖さはホテルに泊まっている僕らにとって特別なものだった。
暗くなってから赤坂に戻り、エレベーターを降りると、どちらが云い始めたかは覚えていないが「なぁ……」と。
それだけで僕らには分かる。
お互い1人部屋なのだ。
結局、そこそこ広い部屋だったので一つの部屋に枕とかけ布団を持って泊まった。
多分、僕が省悟の部屋に行ったと思う。
しかし、そのことを決めたホテルの廊下が怖かったのだ。
廊下の向う側に双子の女の子が立っている様な気がして。
それにバスタブから誰か出てきそうな気もして。
あの映画を観た人だったら分かるだろうなぁ。
後年になって観た中では「シックスセンス」
あの映画からやたらと家の引き出しが気になったりした。
いや~、映画って面白いですね。
それでは、さよなら…さよなら。