キース・チューナーのメインテナンス

つい最近、ひょんなことからキース・チューナーのメインテナンスを考えてみた。長年使っているため、いや長年使っていなかったためと言った方が正しいのかな、とに角動きもスムーズでなく、きっちり止まらないことが多かったからだ。

アイリッシュ・ミュージックでは全く馴染みのないキース・チューナー。

アール・スクラッグスが初めて使用した(当時はタイプが違うものでその名前では呼ばれていなかった)時はまだ秘密のものだった。

このあたりの話はブルーグラス・フリークにはたまらない、いや止まらない話となる。

なにはともあれ、そのタイプのものをビル・キースが素晴らしく改良したものがキース・チューナーだ。

あまりに初歩的で簡潔に書いているので、興味のある人は是非調べてください。

そのキース・チューナーを専門的に診断し、修理する人が日本にいる、ということを前々から知っていたが、今回、真剣にメインテナンスを考え、思い切って電話をしてみた。

梅本さんというその方は電話口で詳しくどういうことをするのかを説明してくれた。

僕もバンジョーに出会ってかれこれ50年余り。

色んな人とバンジョー談義に花を咲かせてきたものだ。

そして、バンジョーという楽器、そしてその部品のひとつひとつにまで愛情を注ぎ込んでいる氏のお話を聞いていて「これは素晴らしい」と感じ、本格的にメインテナンスをお願いした。

それはまるで時計の修理と同じことらしい。いわゆる精密機械なのだ。

やっぱり長年、放っておいてはいけないものだったのだ。

2週間ほどでメインテナンスが終了し、詳しい(本当に詳しい)レポートが添えられて戻ってきたキース・チューナーは生き返っていた。

思えば、ビル・キースが省悟の車の中の何だったか覚えていないが、多分カーステレオ(?古い!おまけにカセットだった)に興味を示し、その構造を納得いくまで調べていた、そんなことがあった。

省悟も「おっさん、好きなんやなぁ。道理でキース・チューナーなんか考え出すはずや」なんて言っていた。

梅本さんはそんなビル・キースとの交流を通じ、日本に於ける唯一の公認キース・チューナー・メインテナンス職人の資格を得て、あらゆるバンジョー弾きの悩みを解決してきた人だ。

生き返ったキース・チューナーは何とも気持ちのいい動きをしている。

僕は梅本さんに「これからも多くのバンジョー弾きに感動を与えてください」という言葉と共に感謝の気持ちをメールで送った。