とうとうやってきます、ブレンダン・ベグリー

98年、アンドリュー・マクナマラに日本の地を踏んでもらいました。僕がアイリッシュを始めたきっかけともなる人物です。

その翌年の99年、アンドリューが僕にアイルランドの地を踏ませてくれました。

その時のツァーの中で初めてブレンダン・ベグリーに会いました。

ぎゅうぎゅう詰めのパブ。アンドリューと僕の演奏に熱狂する人々の中に彼がいたのです。

終了後、アコーディオンを抱えたブレンダンがケリー独特のポルカをこれでもかと演奏しました。

満足気に飲みまくるアンドリュー。弾きまくる僕とブレンダン。

場所を移してブレンダンの家のキッチンで朝までポルカ、スライド、そしてダンス。

彼には何度か一緒にフランスへ行こう、ドイツへ行こう、などと誘われましたが、なかなか実現しませんでした。

2011年から毎年、夏になると彼に会っています。

いろんなところに連れて行ってもらい、コンサートでも演奏し、ラジオ番組にも紹介してもらいました。

そんな彼をいつか日本に連れてきてあげたい、と常日頃から思っていました。

僕は先ず彼を中津川の付知町に連れて行きます。

彼と共に時間を過ごした、あの大西洋の荒波が押しよせる崖で見た空や雲。やさしくそよぐ風。その中で歌を聴かせてくれたブレンダン。

その全てが僕にとって1972年の中津川の人達との出会いにクロスオーバーしました。また、それは1984年のカーターファミリーとの生活も同じでした。

アイリッシュ・ミュージックもオールドタイムもフォークソングも形だけではなく、本当に生活に根付いたなかから生まれてきている、という点で全く同じでした。

だからこそ、彼を中津川の人達に会わせたいと思ったのです。

そしてまた彼らも心からブレンダンの音楽と生活を分かってくれるだろうと感じています。

次の日には京都に行きます。

このところずっとお世話になっているジェイ&郷子さんにお願いして、これまたずっとお世話になっている永運院です。

フランキー&パディそしてノエル・ヒルと立て続けにお世話になり、みんなが気に入ってくれた場所です。

翌々日には奈良に行きます。ここも彼を連れて行きたい場所。丘の上食堂です。昔からの友人である栄くんたちにお願いしての会です。

ここのワイルドなマスターに、これでもかというくらいワイルドなブレンダンと会っていただくことも目的のひとつ。

翌日は静岡に行きます。

僕の生まれ故郷で、高校時代、フォークソングに明け暮れた仲間たちが彼を出迎えてくれる予定になっています。

そうして修善寺で一泊。そのあいだにいつものアルマジロ君が富士山にでも連れて行ってくれるかもしれません。

ブレンダン、天気が良かったら頂上まで行きたいなんて言うかも。

その翌日には小田原に行きます。

もう10年以上も夏休みを利用してアイルランド中を走り回っている古矢さん、早野さんコンビによる会です。

ブレンダンを訪ねて観光地のディングルから遥か大西洋の入り口まで行ってしまう彼女たち。そこら辺のアイリッシュ・ミュージック愛好家よりもこの音楽の成り立ちが良く分かっている人たちなので彼女たちに是非お願いしたいと思いました。

そして翌日はアルマジロ君主催の川のほとりコンサート。僕らも大好きな場所です。

ここで聴くブレンダンの唄はまた格別だと思います。

最後に東京に戻ってきますが、今回は川崎での会にしました。

会場的にはそれまでの「どうしても連れて行きたい」とか「ここでなければ、この人たちとでなければ」ということではありませんが、ツアーの最後に一応コンサートという感じを持って来たかったのです。

勿論、それまでもコンサートですが、どこも思い入れが激しいところで少なくとも僕にとって意義のある場所です。

どれだけの方に来ていただけるか分かりませんが、人間ブレンダン・ベグリーをアイリッシュ・ミュージシャンという観点から、またその逆の観察もできる最後の大物とでもいえる存在です。

先に触れたように98年にアンドリュー・マクナマラ、99年にブリーダ・スミス、2000年にアンドリューとジェリー・フィドル・オコーナー、2002年にトニー・マクマホン

その後、ジョン・ヒックス、パディ・キーナン&フランキー・ギャビンそしてノエル・ヒルとアイルランドからのミュージシャンを日本に紹介してきました。

それよりはるか前92年にマーティン・ヘイズを連れて行こうと思い日本のプロモーターに打診しましたが「聞いたことない」と言って断られました。

そんな時代からだいぶ時が経ちました。

今ではマーティン・ヘイズ、ルナサ、ダービッシュ、ソラスを始め、中堅から若手までこぞって来日するようになりました。

そんな彼らも子供の頃から聴いてきて、一目、いや、それ以上に認めざるを得ない存在、ブレンダン・ベグリーの来日公演は聴き逃したら損です。

彼の歌とアコーディオンで、彼らの生活から生まれてきた真のアイリッシュ・ミュージックを体験していただきたいと願っています。

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