各楽曲についての詳しい説明はライナーノーツにあるのだが、ここではそれ以外の裏話や書ききれなかったストーリーをここに書いてみる。
長くなりそうなので少しづつ。
Diarmuid’s March
ハープのイントロから始まったこの曲は、以前Listening to the Outside Worldというアルバムで一度録音したことがあるが、その時はメインの楽器がコンサーティナであった。
この曲を初めて聴いたのは…と云えども、初めてではなかったのだが…。
アイルランド、フィークルのフェスティバル会場で多くの人達と飲んで話をしながら、ふと建物の中を覗くと、5~6人の若者たちがステージの上で演奏していた。
文句のつけようのない素晴らしいトラッド精神に裏付けされ、その上強烈なテクニックを持った10代後半と思われる彼等。
そんな彼らが演奏していたこの曲。希花女史がどえらい気に入ったものだった。
良い曲だけど、どこかで聴いたことがあるような気がする。
そんな思いを抱いたまま、自分たちの演奏もあるのでその場を後にした。
そうなると気になって仕方がない。
さて、何の楽器で聴いたかな?多分アコーディオン。
若者たちもアコーディオンをリーダーとするバンドであったので、比較的聞き覚えのあるサウンドだった。
そして、朝から晩まで知っている限りのアコーディオン奏者のアルバムのそれらしい曲を聴いてみる。
ワルツかスリップジグかマーチだということは分かっている。
やがてシャロン・シャノンの演奏に行きついた。結構有名なアルバムのタイトル曲になっていたものなので、もう忘れていたんだろう。
シャロン・シャノンと言えば、僕がよくサンフランシスコで一緒に演奏していた、アシ―ナというフィドラーが彼女のバンドに入っていて、ある時「このバンドでギターを探しているんだけどジュンジやる?」という電話がかかってきた。
有難い話だったけど、確か当時、フランキーやパディとのトリオが発足したばかりだったかな。それで忙しくて断った覚えがある。
シャロン・シャノンにはそんな想い出がある。
Vincent
ドン・マクリーンはアメリカのフォークシンガーの中でもかなり有名だが、日本ではどうだろうか。来日はしていないようだ。
1971年から2年にかけてアメリカンパイと、このビンセントが立て続けにヒットして有名になった。
この人はヴェガのロングネックを弾くし、ある写真ではリゾネーター付きのバンジョー(機種は何だったか忘れたが、インレイはハーツ&フラワーだったと思う)を横に置いた写真もあったので、興味を持ったものだ。
因みに、ロバータ・フラックのKilling me Softly with his Songについて、作者のロリ・リーバーマン曰く、ドン・マクリーンがロスの小さなクラブで歌っている姿に感動して作ったものらしい。
以前、ドキュメンタリーで観た時、彼女が「自分の作った曲が素晴らしいアレンジでラジオから流れて来て、思わずフリーウエイで車を止めて聴き入ってしまった」という話をしていた。
ここではチェット・アトキンスの演奏からヒントを得ているが、彼の演奏はスタンダードチューニングだったのに対して、僕はあくまでDadgadで演奏している。