The Strings収録曲よもやま話2

Niel Gow’s Lament for his Second Wife / The Humours of Trim

美しいフィドル曲を今回はハープソロで。この曲は多くの人に取り上げられている。それだけに難しい曲でもあるので、かえって奇をてらわずに淡々としたペースがいいだろうという事で敢えてハープ一つにしてみた。

1800年代前半に書かれたこの曲に関してはすでにコラムの方で詳しく書いているのでここでは省略するが、明治時代以前からこんなメロディが存在したのかと思ってしまう。

因みに彼は2度結婚しているが、どちらもマーガレットという名の女性だったという。ここにあるセカンドワイフは Margaret Urquhart と云う人で1768年に結婚したという記事が残っている。彼女は1807年に亡くなり、その2年後の3月1日に彼は80歳で亡くなっている。当時としては長生きだったかな。

続く曲は別名Rolling Wavesとも云われているが、これについてもよくわからないが、アイルランド音楽に於いてはよくあることなのであまり追求しないほうがいいかもしれない。

単純だがとても美しい曲だと思っている。そのくらいに留めておいて、誰かが「Rolling Wavesをやろうか」と言った時、どちらかな?と考える余裕があるといい。

なので僕は常にいくつかのタイトルを知るようにしている。その方がセッションなどでは対処しやすい。

なお、これではないRolling WavesはThrough the Woodというアルバムで収録している。

Sakura / The Butterfly

1曲目は、云わずと知れた「さくら~さくら~」だ。アメリカでダウンタウンを歩いている時、黒人のバイオリン弾きが「日本人か?これ知ってるか?」と言ってやにわに弾き始めた。

アイルランドではブレンダン・ベグリーが夜中の1時過ぎに近所の酔っ払いお姉さんの家に連れて行ってくれて、ワイン片手のお姉さんが「あたし日本に行ったことがあるのよ。それでこの唄良く知っているの」と唄い出したのがこの歌。とてつもなく上手かったがそれもそのはず、その酔っ払い姉さん、メアリー・ブラックだったのだ。

日本人なら誰でも知っているこの名曲だが、酔っぱらって歌ったり、感極まって歌ったりすることはまず無い…だろう。

そして続くは、これも名曲。誰もが知る、というものではないが、僕がこの曲に出会ったのは1970年代中ごろ。ボシーバンドのライブ盤でなんと悲し気な美しい曲だろうと思ったものだ。

彼等のアレンジが素晴らしく、同じアルバムに入っていたThe Maids of Michelstown と共に僕のお気に入りだったので、後年パディ・キーナンに誰のアレンジか訊いてみたところ、やはりドーナル・ラニーだったようだ。

あまり記憶が定かではなさそうだが、僕もそう思う。

いろんな和音の付け方があると思うけど、僕にとってはこれがベスト。

ハープもいいです。蝶が舞うようなイメージがありますね。