今日は一転して寒々とした、しとしと雨模様。子連れ狼のような天気。
ちょっと外へ出てみると、まぁ大したことはない。
フードさえかぶっておけば大丈夫だ。
ストリートミュージシャンのロビンが、今日はバンジョーでなくマンドリンを弾いて歌っている。
けっこう安物のようなマンドリン。やっぱりワイルドウッドのバンジョーをびしょぬれにするのは気が引けたか。
あるいは修理にでも出しているのか。
いや、アイルランド人、たいがいの修理は自分でやってしまう。
先日、ギャリーがマンドラの指板を自分で取り替えた、と言っていた。
そういえばイデル・フォックスがコンサーティナをばらばらにして世間話をしながら直していた。
笑い声がコンサーティナくらいうるさかった。
アメリカで、なんか個人で楽器を販売しているようなおじさんがいて、よく出入りしていたころ、テナーバンジョーをそのおじさんから買った。
そこそこ1000ドル位したんじゃないかな。
「ここ、ちょっとフレット浮いてるみたい」と言ったら「あ、ほんとだ」と、言って、やにわに金槌を持ち出し、思い切り3~4回叩いた。
「これでどうだ」満足そうな顔をしてそう言った。
ま、確かに直っているようには見えるが、なかなか日本ではあり得ない経験だ。
煙をもくもく出しながらゆっくり走ってくるポンコツ車から、ふにゃふにゃの髪の毛をしたおじさんが出てきて、やにわにボンネットを開けてレンチみたいなもので、思い切りガンガン叩いている。
そしてすぐ乗り込んでそのまま走り去っていった。
ところがどっこい、3ブロック先で同じことをして、また走り去っていった。
僕もティプシーハウス時代、フィドラーのポールの車が発進するときはいつも押していた。
下り坂がある時には必ずそこに止めて「これなら楽にスタートできる」なんて言っていた。
ところで、その車も自分でエンジンを積みかえたらしい。
ノエル・ヒルなんか古い古い枠組みだけしかない家を購入して、3年くらいかけて見事な家に作り上げた。
ガスも電気も水道も壁に穴を開けて自分でひいたらしい。
ここは電圧が非常に高い。220~240下手すると大変なことになる。
先日も新しいライトを壁に取り付ける時「ジュンジ、スィッチオンにしてくれ」見るとドライバーかなんかの先っぽで火花が飛ぶ。
「よし、今度はオフにしてくれ。そのままいじるなよ。フランキー・ギャビンが来たらオンにしてもいいぞ」なんて笑って言いながら見事にライトの完成。
どうりでカーリーヘアーの奴が多いと思った…って冗談いっている場合ではないのだ。
今日は一日中雨のようだ。こんな天気のほうがアイルランドらしい。