8月8日 曇り。めずらしく暑い。
暑いとは言えども、たかが27~8℃。そんなことでへたっているアイルランド人に比べると、日本人は大したものだ。
一路フィークルへ。今日から5日間、ここでのフェスティバルに参加する。金曜日には、アンドリューとテリーとのギグ。土曜日にはジョセフィンとミックとのギグが控えている。
散歩していると、これから始まるこの村の一年に一度の大イベントのために来ている人達に出会った。
去年、同じB&Bに泊まっていたイギリス人の夫婦に会った。旦那さんがバンジョーを一日中練習しているのをにっこり見ていた奥さん。
二人ともちっとも変わらず、しばらく立ち話に興じた。最近はフィドルに凝っているそうで、一生懸命希花に質問を浴びせかけていた。奥さんはにこにこして彼を見ていた。
マーティン・ヘイズともしばらく立ち話をし、デニス・カヒルとも挨拶を交わし、道行く見ず知らずの人達ともすぐに友達になった。
とりあえず、今日は軽くセッションだ。ホステルのすぐ近くのパブのひとつ“ショッツ”で10時半頃から2時まで。(勿論、夜)
アメリカ人の若者が、「あっ、ジュンジ。ジョディース・へブンだ。俺の町に演奏に来た時に行ったよ」と陽気に話しかけてきた。驚いたものだ。
彼と、それからドイツ人のかなりの腕前のフルート吹き(クラウス)とのセッションは、パブのオーナーにも随分気に入られ、来年はここで君たちにセッションホストをやってもらう、とまで言ってくれた。
また楽しみが増えた。
ホステルに戻るとポーラックからメッセージが入った。たった今、着いた。ボーハンズ(4軒のパブのひとつ)でやってるから来い。
見ると8時頃入るはずだったメッセージが今ごろ届いている。ここでは電波もゆっくりだ。
僕の返事にしてもいつ届くか分からない。とりあえずメッセージを出して眠ることにした。
8月9日 曇り時々晴れ。今日も少し暑い。
結局ポーラックとも連絡が取れた。そして彼が言った。「今晩、アコーディオンのダニー・オマホニーと俺がやるんだけど、ギターを弾いてくれないか?」
勿論オーケーだ。
ペパーズで9時に始まったそのセッションは2時をまわってもますます白熱してくる一方。しかし、どこでも誰でもアイリッシュ・ミュージシャンはタフだ。
僕と希花と、前日に仲良くなったクラウスは3時を少しまわった頃失礼して10分程歩いたホステルに向かった。
あたりは見事に真っ暗だ。でもこんな時間に犬の散歩をしている人がいる。犬にもアイリッシュタイムがしみついているんだろうなぁ。
ホステルのすぐ近くのショッツを覗くと、本当はもう中には入れないはずなのに、店のオーナーである、ジェリーが気前よく中に入れてくれ、ビールをおごってくれた。
彼はいったいいつ眠っているんだろう。そして、後で聞いた話だが、ポーラックとダニーは朝8時頃まだ演奏していたらしい。