8月10日 晴れ。珍しくまだ暑い日が続いている。
朝、クラウスが、他の奴のいびきがうるさくて、トイレットペーパーを耳に突っ込んで寝たらどうもそのはしっこが詰まってしまったらしい、といって困っていた。
希ちゃん先生の出番である。さすがにドイツ人相手に「バカじゃないの!」とはいわなかったが、覗いても見えなかったので綿棒を渡していた。
昼からのチューターズ・コンサート(ワークショップでのインストラクターによるコンサート)を聴いてから、ブローガンズに寄ると誰も演奏していなかったので、僕と希花の二人で始めてしまった。
そこへ、続々とインストラクター達が入ってきた。
フルートのレオン・アグニューとタラ・ダイアモンド、そしてフィドルのブレンダン・ラリシー。超一流どころが、じっと僕らの演奏に聴き入っている。
そして、是非一緒にやろうじゃないか、と僕らを取り囲んだ。彼らのプレイは本物だが、こちらも百戦錬磨だ。いけ!希花!チャンスだ、と攻め立てる。
彼らは一同にぼくらの演奏を気にいってくれたようだ。3時間ほどのセッションがあっと言う間に終わった。
でも、本当は彼らがホストのセッションがそこで行われる時間だったようなのだ。そんなことになっていようとは知らなかったが、彼らもなにも言わず、僕らの演奏に耳を傾けてくれたのだ。
夜は9時からアンドリューとペパーズでセッションだ。今朝テリーから電話で、どうしてもダブリンに行かなくてはならないから、希花と3人でセッション・ホストをやってくれ、という旨の連絡が入った。
アンドリューは生粋のタラ・ケイリ・バンドのメンバーだ。この音楽のリズムを体で覚えるのには最適の相手の一人だ。
耳からやっとトイレットペーパーが外れたクラウスも希ちゃん先生にお礼を言ってフルートを気持ちよさそうに吹いていた。
またまたアンドリューが大爆発。
ホステルに戻ったら3時を少しまわっていた。