2013年 アイルランドの旅 7月23日~24日 ダブリン~エニス

7月23日、くもり。気温16度。今ごろ日本はとんでもない暑さだろう。こうして時間はかかれども空を飛んで海外に来れるなんて、ライト兄弟に感謝だ。

ダブリン空港に着くと示し合わせた様にギターが出てこない。

去年と同じようにケース全面に大きく「DUBLIN」という紙を、ごていねいに裏にも表にも貼っておいた。

チェックイン・カウンターでも、乗り換えがあるので充分気を付けるように言っておいた。ただ、日本人相手なら間違いない事は分かっている。

飛行機の中では、さすがJAL系列だ。CAの人に事情を話すと、パリのドゴール空港に電話して乗り換え便を間違えないよう、パイロットから連絡を入れてくれる、という。

ここまでは日本人相手だ。

ここから先はもう人間相手ではない。

そこまでしてくれたのにやっぱり僕等と同じ飛行機には乗っていなかったのだ。猿なみだ。

だがダブリンの空港の荷物係の女性がとても熱心になってくれて、結局、僕らが移動するエニスに10時間ほど後にタクシーで届いた。

取りあえず、そんなこんなで疲れたのでその日は爆睡してしまった。

 

7月24日 エニス。雨。気温15度。

明日からDoolinに行くつもりでTerryと電話で話したが、彼は今Kinvaraというもう少し北のCo.Galwayに住んでいるという事だ。でもDoolinにはセッションで必ず出て行くから会えるらしい。

少し仕切り直しを、と考えていると誰かから電話だ。「おーい、じゅんじ。仕事だ。Kerryまで明日来い」ブレンダン・ベグリーだ。

ちょうどいい。今日が水曜日。テリーがDoolinで誘ってくれたのが月曜、火曜だ。それまでブレンダンのところに居ればいい。上手い具合に予定が立った。

こうなったら、少し楽器もひいておかなくちゃ、と思い、近所を見渡すと、むかしアンドリューと何度か一緒にやったキーランズというパブがある。たしか去年ジョン・キングとやったのもここだ。その時オーナーがぼくのことを覚えてくれていた。

よし、ここでやらせてもらえないか頼んでみよう、と思ったところ「おー、来たか。二人で好きなだけ飲んでいいぞ。そこのテーブルでやってくれ」

日本のアイリッシュ・パブの迷惑そうな対応とは違う。大体、飲み客にとって訳の分からないトラッド・アイリッシュが日本の場合迷惑なんだろう。アイリッシュ・パブなのに。

店に勤めている人もほとんどが“いけいけ、いぇいいぇい音楽”がいいのだろう。アイリッシュ・パブなのに。

8時から2時間ほどやらせてもらい、少しだけ飲ませてもらい(まだ時差ボケなのでご勘弁を、といって限りなく出てきそうなギネスを断った)そのままブローガンズにいくと、大きなセッションの中にオーイン・オニールとイボンヌ・ケーシーがいてにっこりここに入れよ、と合図をくれるが、あまりに沢山の人なのでひとまず挨拶だけにしておいた。

通りを歩いていると軽快なバンジョーの音が聴こえて来た。

窓越しに中をのぞくとこちらに気が付いたマーカス・モロニーが入ってこい、と首を振る。5~6人の質のいいセッションだ。

なんともうひとりのバンジョー弾きは前々から観たかったデシ・ケリハーではないか。それにフィドラーはシボーン・ピープルだ。こちらは希花のアイドルの一人。

それにサラ・コリーもいた。

1時過ぎまで一緒にやって、戻った。

みんな、いい友達だ。

旅の初めにふさわしい、いい音楽といい出会いがあった。

明日からCo.Kerryだ。