Irish Music その28(27の続き)

★  Miss MacLoeod’s

“これはひょっとすると、高校時代から知っていた曲だ。多分ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズが演奏していたものを聴いたのだろう。フォークソングをやっていたあのころは、勿論キングストン・トリオや、ブラザース・フォア、ピーター・ポール・アンド・マリー、その他あらゆる情報にアンテナを張り、そのルーツなどを紹介する、ニュー・ポート・フォーク・フェスティバルの録音などにも興味を持った。ドック・ワトソン、クラレンス・アシュレィ、モリス・ブラザース、カーター・ファミリーなどに加え、ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズは衝撃的だった。彼らのレパートリーに多く、アイリッシュやスコティッシュの曲が含まれていることはまだ知る術もない時代だった。Miss MacLeod’sはもともとスコティッシュ・チューンのようだ。そちらのバージョンは確かにアイリッシュで弾かれているものよりアメリカで聴かれるバージョンに近い。アンドリュー・マクナマラはジョー・クーリーから習ったバージョンを弾いている。1923年のTom Ennisの録音では既にアイリッシュでよく聴かれるバージョンになっている。こんなことを頭に入れながら弾くのと、ただ弾くのとでは全く違う、と僕は思う。伴奏者も知るべきことだ”

★  Rickett’s Hornpipe

“Bill Keithのバンジョー演奏で70年代からよく知っていた。別名Manchester Hornpipeというもので、ほとんどアメリカン・チューンといってもよさそうだ。この手の曲は沢山ある。Fisher’s,Sailor’s,Soldier’s Joy,などアメリカで創られたものか、もともとあったものかを調べるのはおもしろい。尚、これらの曲をアイリッシュ・ミュージシャンが演奏することはまず無い。多分嫌っているのだろう。イギリス方面の曲だから、ともいわれているし、聴くに堪えないつまらないものだ、と酷評する人もいるくらいだ。そこら辺が特にアイリッシュ・ミュージシャンからすると、ブルーグラスなんてやっていられない、という話しにつながってくるのだろう。30年ほどもブルーグラスに関わってきてアイリッシュに移行した僕にとっては分からないことでもないが、スタンレー・ブラザースなんかを聴くと、アイリッシュと同じように胸が熱くなることも事実だ。

★  Mason’s Apron or Devil’s Dream

“驚いたことにDevil’s DreamはHornpipeとしても記載されている。勿論「Reelだと思った」という意見もあるのは、普通ブルーグラスではかなり速く弾かれることが多いからだろう。一方Mason’s Apronは2パートだけの場合もあれば、7つものパートを演奏する場合もある。ほとんどバリエーションとも言えるが…。とりあえず最初の2パートはほとんど一緒だと言える。ブルーグラスでは2パートだけで、それぞれが自分のソロが回ってきた時点でバリエーションを展開する。どちらにせよ、出どころはスコットランドだろうか。