Irish Music その54

Drowsy Maggie/Farewell to Ireland  Reel

  • Drowsy Maggie

“これはアイリッシュ・ミュージックを始めた人なら必ず最初のころに演奏するものだ。そのうち、あまりポピュラー過ぎて、3年もするとほとんど演奏しなくなるだろう。もちろん人によって違うだろうが。例えば、「アイルランドの洗濯娘」とか「ケッシュ・ジグ」とか、同じような曲が存在する。セッションでもテリー・ビンガムやクリスティ・バリーが、そんな曲を書いたリクエストの紙を丸めて捨てていた。この曲も間違いなくそんなうちのひとつだ。映画「タイタニック」でも3等船室で演奏されていた。僕らの感想は「あ、やっぱりこれかよ」だ。そして、面白い話がある。

以前一緒にやっていたフィドラーのローラ・リスクがジョン・ウェイランのバンドでどこかの大きなフェスティバルに出演したとき、タイタニックで演奏したあのバンドも出演していたそうだ。ローラ曰く「今までに聴いたバンドの中でも最も下手くそなバンドだったのに、CD売り場には長蛇の列が出来ていた。あたしたちなんて見向きもされなかった。じゅんじ、どう思う?」そんなもんだ。分かるような気もする。

話はそれたが、この曲、いろいろなバージョンがある。普通は2パートで演奏されるが、ティプシー・ハウスではJoe Cooleyが創ったと言われている3つ目のパートを演奏していた。AパートはEmBパートはD、そしてCパートでBmにいく。これで演奏している人は他に知らない。Joe Cooleyは一時、サン・フランシスコに住んでいたので、ジャックはそこから学んだのだろう。もしかしたら偶然にも気まぐれに一度だけやってみたのかもしれないが、なかなかいい。尚、Drowsy Maggieとしてもうひとつ明らかに違うメロディが存在する。明らかに違う、と言っておいて何だが、これはほとんど曲の進み方が同じだ。Donegalバージョンと言えるだろうか。因みに2パートだ。ところで、最近になって3パート目を創った人物はJoe Cooleyではないという有力な話を知った。1931年にFrank O’Higginsという人物が既にこのパートを録音しているらしい”

  • Farewell to Ireland

“これもややこしいものだ。よく演奏されるFarewell to Erinとは違う曲。ただし、このErinとはアイルランドのこと。そちらはAmで演奏される。「その40」にすでに登場している。こちらはDで演奏される全く別なメロディだ。さらに調べていくと、同じDの曲で少しメロディが違うFarewell to Irelandも見つけることが出来るが、こちらはバージョン違いだろうか。それにしてはだいぶ違うような気もするが”