ちょっとした打ち合わせを兼ねて、修善寺へ出かけた。整体師を本職とする旧友のアルマジロ君のところだ。
畑、山、川、そして桜に囲まれたマイナス・イオン一杯の場所を堪能してきたわけだが、今回の目的のひとつとして、いつもアルマジロ君が主催する会で、音響を担当してくれる櫻井君のギター工房を訪ねる、ということもあった。
伊豆半島のほとんど南端、といっていいだろうか。素晴らしい景色を眺めながら、ちょっとアルマジロ君が道を間違えたが、たどり着いたところは、彼の実家。
素敵な作りの家と彼一人が働いている小さな工場。かなり整然としている。以前彼の作ったギターを見せていただいたが、それはオンリー・ワンを目指す職人の創り出すもの、といって間違いなかった。
四国の塩崎君とはまた違ったコンセプトで、自身の特徴を出すべく試行錯誤していくのも大変だろう。
マーティン・ギターというのはもう不動のものだが、そこを研究し尽くすことに生涯を捧げている、といっても過言ではない塩崎君、そして、自分のスタイルを模索していこうと考える櫻井君。どちらも素晴らしい職人である。
彼が初めて作ってみた、というバイオリンも見せていただいた。それも随分前、彼がギター作りを学ぶためにイギリスに住んでいたときの作品、ということだ。
それはちゃんとしたバイオリンだったが、彼は今ギター作りがメインになっているので、第2号はしばらく作らないだろう。
ただ、まだ32歳という若さである。クラシック・ギターにも挑戦している。僕らには音の違いは分かるが、なかなか内部構造の違いまでは詳しくわからない。
低音は今作っている鉄線のギターからの経験でそれなりの音が作れるが、高音の鳴りがなかなか出せない、と云う。内部の細かいところが微妙に違うのだろう。
ここでもクラシック・ギター制作家のドアを叩き、様々な知識を吸収しているらしい。
非常にもの静かな青年だが、16歳からギター作りを目指し、19歳で単身イギリスに向かうなど、その情熱は大したものだ。
彼のギターはVoyager Guitarという。もうご存知の方も多いだろう。でも、もしまだ見たこと、弾いたことがなかったら、是非楽器フェアなどで手に取って確かめて欲しい。
そして、塩崎君と同じく、彼の人柄というものにも是非ふれて欲しい、と思うのだ。
Voyager Guitar http://voyagerguitars.tumblr.com/profile