友あり、またまた遠方より来たる

  サンホセに住む友人のK君がやってきた。去年の僕のバースデー・コンサート以来なので、そんなに長いこと会っていなかったわけではないが、彼が帰国すると大体会うことにしている。

初めて彼と会ったのは、サンタ・クルーズにルナサのコンサートを聴きに行った時のことだと記憶しているが…。

後で彼に尋ねたら、それ以前にプラウ&スターズで会っているそうだ。記憶と云うものもあてにならない。

とに角、それ以来ケルティック・フェスティバルに同行してもらったり、いろいろないい音楽の情報をいただいたりしている。

彼は30年ほど個人事業として、サンホセでピアノの調律の仕事をしている。それも、かなり有名どころの仕事をこなしているようだ。

チーフタンズやチック・コリア、ボブ・ディラン等々、錚々たる顔ぶれだ。そういえば、「アート・ガーファンクルの時は音楽プロデューサーが、あのエリック・ワイズバーグで、音響のチェックの際、大ヒット曲Dueling Banjoを弾いていたことにいたく感動し、それを本番でもう一度聴けたことは今でも鮮烈に思い出されます」と言っているくらい、大のブルーグラス・ファンでもある。

そんな彼の顧客の一部を紹介してみよう。前出の3アーティストの他に、ディブ・ブルーベック、トニー・ベネット、ブルース・ホーンスビー、ノーラ・ジョーンズ、スティービー・ワンダー、ジョニー・キャッシュ、エバリー・ブラザース、イーグルス、BBキング、レイ・チャールス…。

あまり長くやっているので想い出せない人もいるのかもしれないが、この人たちの縁の下の力持ちとなっている彼の実力が伺われる。

彼と長く付き合っている理由のひとつに、彼の音楽体験の豊富さがある。驚くほどに良く知っている。ロックからクラシックからオールド・タイミーまで。もちろんアイリッシュもだ。それも仕事上、というのではなく本当に様々な音楽が好きなのだ。

実際ブリタニ―・ハスの家のピアノを調律していたこともあり、ジャック・タトルからフィドルを習っていたこともあるので、その辺の人脈もかなり広い。

調律師としての感覚もさることながら、その辺の音楽にも精通しているところがかなり面白い人である。