2016年 アイルランドの旅 8  タバカリー スライゴー

カウンティ・カーロー、曇り。ここから約250km離れたカウンティ・スライゴーのタバカリーという町に出かける。

明日には戻らなくてはいけないので大忙しだ。

前回の7では行くかもしれない、ということを書いたが、結局キアランとの演奏が入り、急遽行かなければいけないこととなった。

いろんな街を抜け、途中Roscommonで食事をし、7時頃タバカリーに着いた。キルケニーでちょっとした用事を済ませたり、スライゴーに入る前に美しい虹を見てしばし見とれたりしていたので、全行程5時間ほどかかった。

その虹は、おそらくいままでに見たものの中でいちばん美しかったかもしれない。

緑の大地、少しの太陽が光っている雲の上を、空全体に綺麗な弧を描き、全ての色がまるで濃い絵の具で描いたように綺麗に浮き出ていた。

きっと雨上がり、極上に綺麗な空気に包まれていたのだろう。これだけでも十分来たかいがあったぐらいだ。

町について演奏場所に出かける。9時過ぎからなので十分時間はある。いくつかのパブでコーヒーなどを飲み、ちょっと寄り道もしたが、とても小さい町なので急ぐこともない。それに行き着くところアイリッシュタイムだ。

オシーン・マクディアマダやリズとイボンヌのケイン姉妹も一緒だ。

僕らは3セットほど3人で演奏した。

そしてここではもうひとつ再会の喜びがあった。

2014年に出会ったバンジョー弾きの少年が、今年はタバカリーに来ているのでミルタウンには行かない。どこかで会えたら嬉しい、と少し前にメールをくれていた。

その時はまだタバカリーに行く事は考えていなかったので今年は会えないかな、と思っていたが、僕らの演奏の会場に来てくれたのだ。

2年前は小さな少年だったが、会ったら分かるだろうか。いや、少なくとも向こうは分かるだろうし問題ないだろう。

オシーンの演奏をドア越しに見ているとお客さんの中の一人の少年が恥ずかしそうにこっちを見てにっこり微笑んでいる。彼だ。

13歳から15歳。すっかり大きくなった彼がいる。

演奏を終えてすぐ、控え室に来てくれた彼はもう少しだけ見上げるくらいに成長していた。

お父さんも嬉しそうに横にいた。

ところでこの2年間、彼の名前が「リアム」だと思っていたが実はお父さんが「リアム」で少年は「ダラウ」という名前だと初めて知った。

いままでずっと少年だと思ってテキストを送っていた。そんな話も交えて、夜どこかでセッションをしよう、という話になり、彼らと落ち合った。

町のメインストリートは、ほんの200メートルほどだ。

その中にいくつものパブがある。

その一箇所で初心者から中級者まで、他のメンバーもいたが、彼と演奏する事ができた。

いちばん嬉しそうだったのは彼のお父さん、リアム。彼は終始恥ずかしそうにニコニコしていた。

彼のような子には本当にいい伴奏者が付いていれば、もっともっと成長することができるだろう。そんなことを一番よくわかっているのはひょっとしてお父さんかもしれない。

是非、僕らの町に来て一緒に演奏してほしいと、強く言われた。実現するかわからないけど、すごく熱心な父親だ。今年は無理でも次の機会を見つけて何日か一緒に過ごしてみたいものだ。

ともあれ、まだまだこれからが楽しみだ。

宿泊場所に戻ったのが2時45分くらい。ギネスでお腹がいっぱい。ま、アイルランドでは良くある現象だ。

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