1971か72年の初めころだったか、東京駅でばったり出会った、アメリカからの里帰りの大塚あきらさんに紹介されたニューグラス・リバイバルが僕らにとってのニューグラスの入り口だったろう。
省ちゃんと二人で穴のあくほどにジャケット写真を見つめた。それほどに印象的だったと云える、見かけとしては完璧にロックのアルバムそのものだった。
そして「火の玉ロック」から始まるそれは強烈なインパクトを僕らに与えた。
それ以後、ブルーグラスは信じられないほどのスピードで変化を遂げていった。
もう多くの人が海外へ出かけていける時代だったので、そのへんを目の当りにした人も多いだろう。
僕等はニューグラス・リバイバル以降、順番としては逆になるのかもしれないが、ブルーグラス・アライアンスも良く聴いていた。
もっとブルーグラスに近いところではチャールズ・リバー・バレー・ボーイズのビートルカントリー。これはよく聴いたアルバムだ。
元々、ビートルズ世代の僕らには心地よいサウンドのブルーグラスと、いい感じにアレンジされた曲の数々がとても気に入っていた。
なんか、さすがにハーバードやMITの出身の人達で作られたセンスのいい計算された音創りという感じだった。
それから、カントリークッキングの…これはラス・バレンバーグのアルバムになるのかな、カウボーイ・カリプソとか。
今聴くとかなり荒々しいサウンドでミックスも「はいこれでよし、次。」みたいな作りだが、それがまたさりげなくてとてもいい。
他にもいろいろあっただろうが、このあたりになると時系列がさっぱりわからない。
ニューグラスというカテゴリーではないが、ビル・キース、カール・ジャクソンやブッチ・ロビンス、アラン・マンデ、ボビー・トンプソン等のバンジョーアルバム、グループとしては75年の来日で度胆を抜かれたデヴィッド・グリスマン・クインテット、その他ブーン・クリーク、セルダム・シーン…挙げてみればきりがない。
当時はLPレコードを沢山持っていることがステイタスになるようなところがあったので、日本盤、洋盤を問わず、手当たり次第に聴いたり買ったりしていた。
海外に出掛けてもあの大きなLPレコードを買って帰ってきた、なんて今だったら絶対にやりたくない。
70年代はブルーグラスの変革が大幅に進んでいたニューグラスの時代だったのだろう。