Irish Musicその174

Londonderry Air    (Air)

今回は、このあまりにも有名な曲に付いて書いてみる。Danny Boyと云う方が人々には知られているタイトルだろう。

また、イギリス嫌いの人達にとっては、Londonとついているのが気に入らず、Derry Airと云う人も多い。実際、元々はDerryが正式名称(1613年まで)だったのをイングランドがLondonを引っ付けたらしいのでそれは許せない人も多く居て当たり前だろう。

さて、曲について面白い話がある。作者と云うのは不明、となっていることが多いようだが、あるストーリーを読んでみると Rory Dall O’Cahanの作ではないか、ということだ。

彼が飲み過ぎて川のほとりでこけて、持っていたハープを落としてしまってからそこで寝込んでいる間に妖精が彼のハープを弾いていて、目を覚ましてからそのメロディの美しさを想い出した。そしてすぐに彼のパトロンの下に行き、まだ誰も聴いたことのないそれを弾いた。その時点ではO’Cahan’s Lamentと呼んでいたらしい。

彼が生まれたのはアイルランドCo.Antrimで1580年頃、1653年頃にスコットランドで亡くなっている。

そのだいぶ後、1800年代中ごろに人々に知られるようになったという事だ。

それは、Jane Ross という女性が北アイルランドで聴いたハープ奏者の演奏を楽譜に起し、アイルランド音楽を研究する人物Dr George Petrieに送ったことに始まった。

彼がその曲をLondonderry Airと名付けたようだ。

そして最終的には1910年、弁護士であるFred Weatherlyという人物が詩を書いた。

それがDanny Boyだ。

なお、Jane Rossにその曲を聴かせた人物は盲目のフィドラーJimmy McCurryということだが、よくそんな記録が残っているものだ。

ただ、Jane Rossが聴いたのはハープによる演奏だったという記事もあり、良く分からないことも多いはずだ。