2022年 アイルランドの旅 1

7月29日 金

ダブリン到着。気温16度、くもり。朝8時15分発ゴールウェイ行きのバスに乘る。景色は全くと言っていいほど変わっていない。

思えば70代になって初めての長旅。トータルで18時間ほどのフライトは少しこたえたかもしれない。

飛んでいる間にも、もう少し北のほうではバカが戦争なんていうものを始めて、それがまだ続いているんだなあ、と考えていた。

こうしていろんな民族と共にいて、いろんな国をまたいでいると、否応なしに僕らではどうしようもない事案が世界では起きている、ということを感じざるを得ない。

ところで懸案のマスクだが…やっぱり飛行機の中は一応それなりにみんなつけていたようだ。

だが、ダブリンに着くなり、僕だけになった。バスの中も僕だけ。ゴールウェイを歩いても僕だけ。

さて、買い物に行こうか、と考えた時、どうしようかな?と思ってしまう。そして一旦外へ出ると、やっぱり何か忘れ物をしたような感覚になるが、

誰もつけていないので、まぁいいか、という感覚さえ忘れてしまう。

そんな1日目。13時間も寝てしまった。

7月30日 土

朝から結構な雨。それらしい、アイルランドらしいと言えばそれまで。まだ眠たいような身体のだるさはあるけど、何かしなくてはだるいのを引っ張るだけになってしまう。

来週末のアンドリューとのギグに備えて弦でも交換しておこうか、などと考えながら、少し昼寝したほうがいいかもしれない、とも思う。

なんだかお腹も空かないし、やっぱり若い時の旅とは少しばかり違うのかな?

昼近くなると雨が止んだようにも見えるけど、日本と違って道行く人の状況を見てもわかりやしない。

なんせ、雨の中でも平気で傘もささずに何か食べながら歩く人たちだ。

外に出て見るとやっぱり普通に降っているが傘をさす人はいたって少ない。びしょぬれになった犬を連れて散歩する人もいる。

コーヒーショップの店先で座ってコーヒーを飲む人がいるが、コーヒーには間違いなく雨が入っている。

変わった人達だ。

とりあえず今日は一日雨のようだし、身体もまだだるいのでもう少し静かにしていよう。

7月31日 日

日本ではもう8月に突入している。ここ、アイルランドは8月になればもう秋だ。

4時には目が覚めたが、昨夜頑張って10時過ぎまで起きていたので、時間としてはそこそこ寝たのかな、と考えると時差ぼけによる早起きとは違うようだ。

今はもう5時過ぎているが外はまだ暗いのでこれからの天気はわからない。

この街はカモメの鳴き声と川のせせらぎがなんとも心地よい。もちろんロケーションによって多少の違いはあれど、やっぱり日本の都会とはかけ離れたものを感じる。

毎度思うことだが日本にはなんでもある。少なくとも物質的には。

だが、都会育ちの僕にはそれも当たり前になっている、ということも事実だ。

それにしてもテレビのない生活の心のゆとり、みたいなものをここ3日だけでも感じる事が出来るのは、自分にとっていいことのような気がする。

今頃日本では、芸能人と呼ばれる人たちが馬鹿騒ぎをし、大食いみたいなものを競い、有名どころを使うだけの医療ドラマ…などが腐る程放映されているのだろう。

お、そろそろ6時。まだどんよりしているけど東の空が明るくなってきたので今日は晴れそうだ。

午前7時、近所を散歩。マスクは要らないが上着は必要だ。日本の冬の入り口という感じ。

8月1日 月

今のところ晴れ。朝早くから目が覚めてしまうと、もうTシャツでは寒い。

ゴールウェイに来て最初に出くわすのは誰だろうとずっと考えていたが、そんな中、声をかけてきた人がいた。これは昨夜の事だが。

クレアのバンジョー弾き、ポラック・マクドナーだ。

なんでも今晩5時半からアコーディオン弾きのコナー・コノリーとセッションだから来い!と言う。コナーも良く知る人物だ。

セッションは珍しく時間通りに始まって、ポラックの落ち着いたバンジョープレイと、コナーの滑らかなボックスプレイがたまらなく気持ちいい。

久しぶりの感触だ。

パブはマスクも何も関係ない人たちで埋め尽くされ、雄叫びが聞こえ、次から次へとビールが運ばれてくる。流石に4パイント目はちょっときつい。

でもオーナーが嬉しそうに『店のおごりだ』と言いながら持って来たり、わざわざ買ってくれる人がいたり、そんな訳で飲まないのも失礼かな、と思ってしまう。

そんな風にして時間が過ぎ、さぁ、帰ろうかと思ったところにやって来たのが、ブライアン・マグラーとミック・ニーリー。

これでは帰ることは不可能だ。

それでも途中まで付き合って戻って来たのが10時頃。決して遅い時間ではないけれど、久々の人ごみ、久々の押し寄せるビール、久々の力強い音楽で疲れも頂点に達している。

もちろん久々の長いフライトが効いているんだろうけど。

今週末はフィークルなので、多分朝まで帰れないだろう。

これから先はこの様な日記形式ではなく、飛び飛びの更新になると思うけど、また、フィークルの報告や、珍しい人に会ったとか、おもしろいものを見たとか、

そういった事があったら、生きている証しとして書き続けていくのでよろしくお願いします。

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