2023年アイルランドの旅 21

昨日は珍しく飲みに出かけた。

いや、珍しくないか。シチュエーションとして珍しかったかな。

去年、よく出会ったユジーン、実際にはユージーンのほうが近い仮名表記なのかな?

でも友人のユージーンというのが変で、ユジーンとした覚えがある。

その彼の奥さん、日本人でアユコさんという人から連絡があった。

彼女とは去年、顔だけは合わせた程度に知り合いになっていたが、先日、8時をすこし過ぎたころ、和カフェ(現、和すし)のよしみさんから「今シェリダンズのワインバーでアユコさんと飲んでいるけど来る?」という連絡が入り、出かけて行った。

シェリダンズは有名なチーズ屋さんで、入るなり強烈なチーズの香りが漂うところ。

お店はもうクローズしていて、2階のワインバーだけは開いている。

なので、お店ほどその香りが強くはないが、開いている時間のお店には僕は入れないほどのなかなかのチーズの香りだ。

ほんのりと香り漂う2階なので慣れてしまえば大丈夫。

よしみさんの方は2015年以来の深いつながりで、なかなかのバイタリティの人ということは承知していたが、アユコさんはその上をいくかもしれない。

ちょっとヌートバーのお母さんを彷彿とさせる。

フランスが長いので、英語よりもフランス語のほうが通じやすい、という神奈川県の人。

話が世界中に飛ぶので、しかもヌートバーのお母さん然としているので、めまぐるしい。

面白かったのが、コロナ禍の直前にアイルランドから、ダイビングの免許を取りたくて、エジプトに行って、そこでコロナということになり、7か月間エジプトにスタックしてしまった、ということ。

国籍が日本なので、アイルランドにも戻れず、という状況だったらしいが、なかなか聞けない話をいっぱい聞いた。

さて、ここまでは先日の話。今日は何が珍しかったかというと、セッションをやっているバーで飲む、ということだったかな。

普通、静かなところでしか飲まないが、アユコさんが「4時からフォークミュージックをやっているところ」なんていうので「それ毎週やっているセッションだよ」と返信して、ちょっと出かけてみた。

ユジーンはもうすでに何杯目だろうか。

「この人とまともに付き合って飲んだら死ぬよ。だから適当に帰りたくなったら帰っていいよ」というアユコさん。

重々ご存じです。

奥の方で、フィドラーのマイケル・チャンを中心に10人ほどだろうか。中の数人は良く知った顔だ。

日本人の女の子も数人来ていた。

そのうちの一人はもしかしたら、数年前フィークルでのアンドリューとのセッションの時に会っているかもしれない。

でも、若い女の子に「前にどこかでお会いしましたっけ?」って、なんとなく訊きにくい。

演奏を聴きながら僕もギネスで話が弾む。

やがて、グラスが空きかけると、ユジーンが立ち上がり、新しいギネスが目の前に置かれる。これだ!

アユコさんとも話が弾む。

3人姉妹の末らしいが。2人の姉はあたしどころではない、という。

なぜ「2代目かしまし娘」としてデビューしなかったのかと思うが、曰く、方向性が全く違う3人、ということだ。

このバイタリティで3人三様の方向性、しかも2人の姉のほうが輪をかけて凄い、という。なんとも想像を絶する家族かもしれない。

いや、上の2人は一番下の妹が強烈で、と、きっと言っているだろう。

世界にはいろんな人がいるもんだ。

ユジーンが立ち上がった。

「いや、もうけっこう」と言って逃れる。

逃げるタイミングというのもなかなか難しいが、どうやらそんなことはあまり考える必要がないようだ。

7時。セッションはまだ続いていた。

街がにぎやかになっていくのはこれから数時間後だ。

別なバーからもセッションの音が聴こえてくる。