2023年アイルランドの旅 40

いよいよEast West Fiddlesのツアーも終わりを迎えて、日本が近づいてきた。

どこのコンサートもサウンドエンジニアが素晴らしく、音に関してはなんのストレスも感じることがない。

僕らのサウンドもかなり決まってきたように感じるし、お客さんの反応もかなりいい。

主催してくれる人たちのリスペクトも素晴らしく、みんながこの音楽に慣れ親しんで、どこまでもサポートしていこうと考えているのがよくわかる。

そうしてみると本当にこの音楽ってこの人たちのものなんだな、受け継がれている文化なんだな、ということを実感してしまう。

そこに異文化を紹介することも大事。

但し、本当に僕らは、いや少なくとも僕は日本の何を知っているんだろう、と思ってしまう。

戦後間もなくの生まれで、ほとんどが西洋化されたもので育ってきたし、日本の古来の音楽についても良く知らない。

その方面の学者になるよりは、やっぱり西洋音楽に慣れ親しんで、それを演奏することに喜びを感じてしまった。

子供のころの音楽の授業ってなんのためだったんだろうな、と、つくずく考えてしまう。

音楽を楽しむのではなく、こんな作曲家が居ました、こんなひとも居ました、こんな曲があります、という学問とも言えないその程度のものだったんじゃないかな。

これは正に日本の教育に関する事だと思うので、あんまり適当なことは言えないが。

昔から何かにつけ、決められた方法で決められた事を学ぶ、という感じがせんでもない。

日本人の多くが自由と身勝手の違いが分からないようになっているのは、戦後の歪んだ教育制度にも多少影響されているんではないか、とも思ってしまう。

いやいや、こんなことは僕ごときが言うことでもないか。

とにかくあと数日で日本だ。

食べ物はおいしいだろうなぁ。

また地震に怯えなくちゃならないのかなぁ。

いつになったらすずしくなるんだろうなぁ。

いろいろ考えてしまうが、とりあえず今回の旅のレポートはここで終わり。

途中、コロナで途切れたが、2011年から続いてきたアイルランドの旅、その間、アイルランドの、少なくとも景色は全然と言っていいほど変わっていなかった。

音楽は新旧交じってさらに盛んになっているように見えるけど、そこもあまり変わっていないのかも。ずっと長きにわたって、その素晴らしさを世界中に発信してきていることも確かだ。。

今回、ダブリンのSeamus Ennis Arts Centreで演奏できたことはとても有意義なことだった。

アイリッシュミュージックの代名詞ともいえる人物の名前を冠した会場。

小さなコテージのような作りで、レストランもあり、極上の食事も楽しめる(僕はアイルランドに於いて、かなり美味しい所だと思った)スタッフもとてもフレンドリー。

ここで演奏するEaster Snowは格別なものであった。

マナス・マグワイヤー、アイルランドを代表するスライゴースタイルのフィドラー、そしてギャリー・オブリエン、数々のグループを経て今なお活躍する、僕が思うに最も渋い音楽家の一人。

そんな二人との共演アルバムは、近々日本でも販売のご案内をさせていただきます。

どうか楽しみに待っていてください。