今までに聞いた言葉の中には、相当前のことでも、そのシーンまで想い出すくらいクリアに残っているものが有る。
感動した言葉とか、人生を変えたかもしれない言葉とか、偉人の言葉とかいろいろあるだろうが、今回は、ある動作をするたびに想い出すような、大したことではない、それでも何故か忘れられない言葉について書いてみようかな。
まず、僕は朝必ず一杯のコーヒーを淹れる。
それはほとんどの場合顆粒状のインスタントコーヒー。
そこにホイップしたミルクを入れて飲む。
そこで、想い出すのが京都産業大ブルーリッジマウンテンボーイズの合宿でのこと。
僕が先輩の細谷さんにコーヒーを淹れた時の事である。
同じく顆粒状のコーヒーをスプーン2杯入れたその時、細谷さんが言った。
「あ、お前、それけっこう濃いぞ!」
何故かその口調から声から全て物凄く残っている。
なので、今でも朝、スプーンに取ったコーヒーを見つめて独り言「あ、お前、それけっこう濃いぞ!」なんて自分自身に呟いてしまう。
省ちゃんの言葉なんか数えたらきりがないかもしれないけど、僕にはシャワーを浴びる時必ず想い出す言葉がある。
省ちゃんが嬉しそうに「お前、人間の身体でいちばん汚いところどこか知ってるか?」と言ったが、恐らく彼は僕が「股か?尻か?」と答えると期待していたんだろう。
「どこ?」と言うとまたもや嬉しそうに「わきの下や」と言った。
再び僕はシャワーの時「わきの下や」と呟いてしまう。
うんと昔に見た西部劇の映画で、主人公が男の子に「耳の後ろを良く洗え」と言っていたこともついでに想い出すが、あの省ちゃんの嬉しそうな顔はよく覚えている。
沢山の人に出会って、もちろん覚えている言葉は沢山あるけど、なんか自分でも同じ言葉を呟いて見たくなるなんておかしいな、と思ってしまう。
そう言えば、同じく省ちゃんが言っていた。
「髭は朝7時から伸び始めるんや」
本当かな?でも、それ以来僕は7時過ぎないと髭は剃らない。
ま、あまり4時や5時に剃ることもないけど…。