2012年アイルランドの旅 ~7月11日 ミルタウンマルベイ~

ダブリンからリムリック/エニス経由で目的地へ。ブレンダンの末娘であるクリーナがモロニーズというパブで待ってくれている、ということだ。沢山の人で埋め尽くされた店の中に入るとまず、12~3人のセッションのかたまりの中に高橋創君の友人、リアムが巨体をゆらしてコンサルティーナを操っているのが見えた。チラッとこちらを見て首を一瞬斜めに倒す。アイルランド人独特の挨拶だ。こちらも同じようにして、挨拶を済まし、さらに奥へと進む。すると、パティオのようになった場所に7~8人のティーンエイジャーのセッションを見つけた。小学生くらいの男の子がアコーディオンを弾いているその隣にクリーナを発見。めでたく再会を果たし、一緒にいたシェーマス・ベグリーの娘のミーブとともにベグリー家に向かった。

街の中心部から車で5分ほどのところにベグリー家がある。途中、牛が並んでこちらを見ていたり、犬が飛び出してきて一緒に走ったり、アイルランドの田舎のどことも変わらない景色を通り過ぎて、広い広いベグリー家に到着。ブレンダンはまだ来ていない。とりあえず荷物を置いて再び街の中心部、セッションで盛り上がっているところに出かけるが、どこもかしこも人、人、人で都心並みだ。

うろうろしていると、向こうから見た顔が歩いてくる。テリー・ビンガムだ。相変わらず長いカーリーヘアーをなびかせて、ちょっと太めのシルベスター・スタローンみたいだ。

どこかセッションに行くのか訊いてみると「いや、人が多すぎて自分の音すらも聴こえにくいし今日はただ歩き回っているだけだ」と言う。同感だ。セッションも本当に皆の音が聴こえる範囲で、各人が全神経を集中させてまじめに取り組んでいるほうが、僕も好きだ。あまりがやがやしたところでやったり、ミュージシャンのなかでも音に対するリスペクトが今一希薄だったりすると、その場所に居ることは単なる時間の無駄となってしまう。

しばらくテリーと雑談して別れた後、大阪からやってきた上沼君と遭遇。カレーチップスとチキンバーガーを食べながらまたしばし雑談。

そして、今日は早い目に帰って休むことにした。それでも、もう10時近くになっているのだ。空はまだ日本での夏の夕方くらいの明るさがある。