2012年アイルランドの旅 ~7月15日 エニス~

7月15日 曇り。

ウノさんと上沼君と希花でエニスへ。上沼君はそのままゴールウェイに向かった。ジョニー・リンゴ・マクドナウにボウランの手ほどきを受ける約束があるらしい。僕らもゴールウェイに行く予定があるので、リンゴとは会うだろうし、日本に帰ったらまた、上沼君とも会えるだろう。

そして、今後はイギリスに住むことになるだろうウノさんとも、どこかでまた会うことができたら嬉しい。

みんなと別れて宿泊先に向かった。今夜はジョセフィンがブローガンズというパブでのセッションに誘ってくれている。

9pm,この人は珍しくほぼ時間通りにセッションを始める。さぁ、始めようとしたときギターをかついだ女性が入ってきて「ジュンジ、久しぶり。ニーヴよ」とおおきなハグをした。「ニーヴ・パーソンズ?」エドモントン・フォーク・フェスティバル以来だ。10年ぶりになるだろうか。

そしてその日、彼女はいっぱい歌を唄ってくれた。パブでは演奏の時には少々うるさくても仕方ないが、歌の時には静かにすることを要求されるし、またそれが礼儀でもある。

グラスを叩いたり、シーッとみんなで言ったりする。それでも気がつかず、あるいはおかまいなしにしゃべっているひとがいることもあるが、その時のニーヴはさすがだった。こう言ったのだ

「大丈夫よ。あたしが歌いだしたらみんな静かになるから」そして、アンディ・M・スチュアートの名曲“Where Are You Tonight”を唄いだした。凄い。一瞬にして騒々しかったパブを別世界にひきずり込んでしまったのだ。

「ジュンジ、一緒にギターを弾いて」と目で合図する。僕も大好きな曲だし、ディアンタというグループのメアリー・ディロンのレコーディングを希花に聴かせてからは彼女のフェイヴァリットソングでもあった。

僕とニーヴの間にはさまれた希花にとっても極上の瞬間だっただろう。

そして、またジョセフィンとミックとのチューンに入る。この日たまたま居合わせたお客さんにも素晴らしいひと時となっただろう。

普段ニーヴがひとりでフラッとパブに現れるなどあり得ない、ということなので、ジョセフィンが僕のために仕組んだサプライズだったのだろう。

感謝、感謝の一日だった。

撮影 ジョセフィン・マーシュ