2012年アイルランドの旅  ~7月25日、26日、27日 ゴールウェイ~

7月25日 晴れ

一路ゴルウェーへ。6時からデクラン・コリーのセッションだが、そのあと、8時からそのセッションのあるパブの裏手にある“セント・ニコラス”という教会でコンサートがあるのだ。コンサルティーナプレイヤーのコーマック・ベグリーがホスト役のそのコンサートは、週3回トラッド音楽が静かな教会の中でじっくり聴ける貴重なものだ。

実際、今回デクランのセッションでも、あまりにモダンでスピードも速く、それが結局はトラッドもよく分からないアイリッシュ音楽ファンに受けるためのものとして、この地でもてはやされているものの大半だな、という気がした。

コーマックは僕と希花をステージに呼び込んでくれた。とても生真面目な青年で彼のプレイからは彼自身の人間そのものが現れてくる。

「ところでコーマック。このあいだ僕の枕元で踊っていたのは君か?」

「いや、僕じゃない。でも全然覚えてない」そんな会話でお客さんも大爆笑。そして僕と希花の“フォギー・デュー”をはさんでジグとリールを演奏した。

そしてその日、コーマックが今オーダーしていてすでに4年経ったドイツ製の素晴らしいコンサルティーナの権利を、希花に譲ってもいいと考えている、という話を彼から受けた。

また、熱が上がった。まだ決まったわけではないが、うれしい悩みが増えたようだ。

 

7月26日 晴れ。

特になし。ただ、パブ“チ・コリ”の前で元ディ・ダナン、いや今の“オールド・ディ・ダナン”のジョニー“リンゴ”マクドナーと会って長話をする。

リンゴは今のディ・ダナンのことを“リアル・ディ・ダナン”と呼ぶ。フランキー・ギャビン以外のメンバーが彼と仲たがいして作ったバンドだ。

明日、バンジョーのブライアン・マグラーと一緒にセッションがあるから是非来ないか、と誘われたので、二つ返事でオーケーした。

明後日、フランキーと会う約束があることは黙っておこう。

 

7月27日 晴れ。窓辺にいると暑いくらいだ。

リンゴから再三電話が入り、6時半からチ・コリでセッション。ブライアンの素晴らしいバンジョープレイと希花のフィドル、リンゴのボウランに僕のギターというシンプルなトラッドセッションだった。

リノさんという名前の日本人の女の子のフィドラーも来た。元々ブルーグラスをやっていたそうだが、この人あとでびっくりさせてくれた。それは後に書くとして。

今日はまたコーマックの会が教会で8時から始まる。今夜はバンジョー弾きのポーラック・マクドナーと一緒だ。

ずっと前、アンドリューがベストバンジョープレイヤーと賞していた人だ。初対面だがとても気さくですぐに一緒に出演することになった。

それからは幾度となく共に演奏することになる。アンドリューとは大の仲良しらしい。