2024年6月2日(日)サウンドタム

6月1日の土曜日に安中に向かう。

品川から乗った電車の中では鉄道オタクの熱い語りを約2時間、聞いていた。

いえ、決して面と向かって聞いていたのではなく、聞こえてきたのだ。

北は北海道から、南は九州まで、JRの路線にまつわる話や、電車の車両、座席の事など、

正にオタクの成せる業。

電車が高崎に着くと、他にもカメラの三脚を持ち、何台ものカメラを携えている若者が一杯降りていった。

なんか有ったのだろうか。いや、それともいつもの事なんだろうか。

とに角、安中に無事に着いた。

今回は河合徹三、通称「てっちゃん」とのライブ。

考えてみれば、てっちゃんに会う前に大量のてっちゃんに会ったわけだ。

こちらのてっちゃんは、3週間ほど前、人生初の骨折をしたらしく、痛々しい感じで足を引きずりながら大きなウッドベースと共に現れた。

本人曰く、もうリハビリの段階に入るらしいので、もうちょっと、という事だが、リハビリって結構大変なんだろうなぁ。

そんなこんなで、この日は夕方から雨。

明日の本番もぐずついた天気になり、雨は免れないだろう、ということを聞いたが、晴れ男としては何とかしたいものだ。

さて、リハーサルも済み…なんせ一緒にふたりだけでやるのは初めて、という事で一日前のりしたわけだが、目的は他にもある。

そちらもかなりメインに近いイベント、宴(うたげ)だ。

僕は12時で失礼したが、結局3時まで飲んでいたらしい。

そんな前置きはともかくとして、今回は初めてのデュオと言うことも有ったが、何といっても僕の「Back to Banjo」レコ発、という触れ込みだったので、僕は先ず、一人でバンジョーを弾いて始めてみた。

CDの一曲目「Got Banjo?」のセットから。緊張したが自分としては95点くらいだったかな?

そして、随分前に高石さんから詩をもらった「鉄道暮らし」いやいや「徹三暮らし」ではありません…それを歌って、杖を突いたてっちゃんを呼びだした。

そこからは彼の釣りに関する話題から、酒に関する話題までを曲に合わせて、例えば

「Fisher’s Hornpipe」「Whiskey Before Breakfast」などを演奏して、しっとりと「Misty」なども演奏。

彼のベースは、ベースと言う枠を超えている感がある。勿論、長年知った仲ではあるが、二人でやるのは初めて。それでもナターシャーや希花とのデュオでも手伝ってもらったり、今までに「あ、やっぱりいいなぁ」と思わされたことは何度もある。

なんかえも言われん「人間の出す音」を感じさせてくれるミュージシャンの一人なのかもしれない。

2部は、やはりウイスキー関連「Whiskey You are the Devil」なんて言う曲からスタートして、新しいアレンジの「3つの箱」そして、てっちゃんにも歌ってもらい、そこでも「Rye Whiskey」なんかが登場して盛り上がった。

後半には僕も「今またヒーローが」など歌わせてもらった。

この歌はアメリカに居た時9月11日からイラク戦争の当時書いたものだが、結局、いまだに歌詞を模索している。

60年代にのんびり反戦歌なんか歌っていた自分たちとはかけ離れた世界に居た人達、そんなかれらとの生活を経験したことにより、どんな形になっても唄っていっていいのかな、という思いが最近になって生じていた。

今迄よりも気持ちが入って歌えたが、これもてっちゃんのおかげかもしれない。

歌に引き続きの「Both Sides Now」も弾いていて気持ちよかったし、「Time After Time」も、そして最後の「Back to Banjo」セット。

全体を通して、ギターがいない、というのもひょっとして新しい形なのかな、ということを感じている。

何かが足りない分、出来得る限り二人で寄り添うことに集中するような緊張感も生まれるし、曲によっては二人だけで充分、という感覚にもなるし、そういう意味ではまたやりたい、とおもえるような気分を味わえた。

問題は集まってくれた人達が、また聴きたい、と思ってくれるか、だ。

だが正直、終了後のみなさんの顔を見る限り、お、またやってもいいのかな、という自信につながったかもしれない。

おかげさまでCDも予想を大幅に上回る売れ行き。みなさん、本当に有難う。

皆さんは僕の宝物です。宝者だろうか。

ところで雨。

僕は始まる時に言った「皆さんがお帰りになる頃には止んでいますよ」と。

事実、皆さんが集まってくれた頃には昼過ぎから降っていた雨も一時止み、、皆さんが中に入っている時少し雨の音が聴こえ、終了後はまた上がっていた。

何となく「晴れ男、多少は健在なり!」と云える程度にはなっていたと思う。

足を運んでくださった皆さんに感謝します。

タムちゃん、夏子さん、川端さん、そして前日から一緒に飲んでくれた佐々木君、そして、

何よりもレコーディングで散々骨を折ってくれた河合徹三氏。

今回は本当に骨を折って現れて、素晴らしい人間味あふれるプレイを聴かせてくれたことに感謝。

僕自身にとっても楽しい二日間、そして楽しい音楽会でした。