2013年 アイルランドの旅 8月4日 快晴

今日はリンゴが僕等をコネマラに連れて行ってくれる、ということだ。「コネマラってどんなところ?」と希花が訊く。「うーん、何にもないところ」

実際、荒涼とした土地が広がり、奥へ奥へ行くとアイルランド語しか通じなくなってくる。P8050424

僕は10年ほど前に訪れたことがある。その時は、雨が降ったかと思ったら、瞬く間に陽の光が差し、そしてまた雨が降る。パノラマのような景色の中には人っ子一人見当たらない。

羊が道路わきにまで出てきて「バァァァ~」と鳴く。そんなところだったが、P8040388きょうは珍しいくらいの快晴だ。でも、おそらく景色は何一つ変わっていないだろう。

車の中でリンゴお気に入りの音楽を聴く。驚いたことに“ライ・クーダー”あり、“ザ・バンド”あり、オールドタイミーからブルーグラスまで、ほとんどぼくが聴いてきた音楽と一緒のものを好んで聴いているようだ。

若い人達とはなかなか盛り上がれない話題も、僕とならいっこうにとどまるところを知らない。P8040389

何故か去年、初めて会った時から僕と希花のデュオをえらく気にいってくれていた。多分、トラッドをリスペクトしている姿をわかってくれたのだろう。

「最近のバウロン奏者は曲も知らないで叩いている。そんなのはひとつの音でわかってしまうんだ。あ、こいつ他人の音聴いてないなって。お前のソロじゃないぞ。お前はなんでここにいるんだ。やめてしまえっていいたくなるよ」

バウロンという楽器で、その名を世界に轟かしている人だ。さすがに見る目が鋭い。やっぱり、リード楽器の人と同じように曲を知っている。P8050430

僕のやりかた(考え方)と一緒だ。

だいたい、曲を知らずに伴奏なんか出来るわけがない。希花も出来るだけたくさんの曲を覚えて、僕がどういう伴奏をつけるか聴きながら弾いたらいい、と僕は思っている。

 

そしてアイルランドに来たらその道のトップの人達からリズムを覚えたらいい。もちろんユー・チューブでもCDでも聴けるけど、生活と密着したリズムだ。

この厳しい自然の中から生まれた音とリズムをいっぱい体に受けて僕等は5時間ほどもコネマラに滞在した。P8050439P8040415

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今日はゴルウェイに戻ってアンドリューとセッションだ。僕がゴルウェイに来ているのでリンゴが呼んでくれたらしい。

そういえば彼のメールに“See u on Sunday”と書いてあった。だから今度の日曜日はまだクレアーにはいかないのに、って思っていたけどこの事だったんだ。

彼の文章はいつも短すぎて難解(南海)ホークスだ。

途中、リンゴが「そうだメアリー・バーガンの家がすぐそこだ。寄ってみよう」という。「こんど教会で一緒にやるし、挨拶できるからちょうどいい」と僕も大賛成。

ティン・ホイスルというとメアリー・バーガンだ。彼女も「最近の若い人は基本を知らずにやっているから、私たちがきちんとトラッドを教えてあげなくちゃいけない」と盛んに言っていた。

教会ではリンゴも一緒に出てくれることになった。

さて、8時。場所はいつものTi Coiliだ。「Andrew!」「Junji!」といつものように大声で呼び合う。

それから先はまた大爆発だ。僕と希花でアンドリューを挟み、希花の横でリンゴがバウロンを叩く。

とどまるところを知らない音の嵐が続く。

アンドリューと演奏するのはすごく好きだ。リズムがたまらない。リンゴは着実にバウロンを叩く。いい伴奏、いい音楽、まさにそのものズバリだ。

興奮もさめやらないうちに1時近くになってしまった。帰りにチキン・バーガーとガーリック・マッシュルーム・フライをテイクアウトしてしまった。

僕のコレステロールは?…先生。

それにしても最高の天気にコネマラ観光ができて、やっぱり僕は晴れ男かなぁ。因みにコネマラになめくじはいなかったので、今日は静かだった。