2014年もお世話になりました

  2014年。この年は希花さんにとっては大変な年でした。もちろん、その数か月前から1日のほとんどの時間を教科書との睨めっこに使い、睡眠時間もいつもの半分ほどにして勉学にはげんでいたわけですが、最後の追い込みに入り始めたのはこのころ。さらに睡眠時間は短縮され、ノロウィルスの恐怖からそれまで行っていた図書館にも行かなくなり、一日20時間ほどの勉学に励んでいたようです。

 

そんな中、以前からお話があった、ウィンドⅡ主催によるコンサートの準備も進み、ようやく試験が終えた希花さんも晴れて(まだ結果待ちでしたが)アイルランドの話に華を咲かせることができました。

このコンサートはアイルランドで過去に僕らが撮ってきた写真を見ながら、その風景を楽しんでもらい、そして音楽も楽しんでいただく、という企画でした。

ウィンドⅡには本当にむかしからお世話になっています。これからもお付き合いのほどよろしくお願いします。

 

さて、いよいよ合格発表という頃、ニュージーランドに来ていたコーマック・ベグリーが「桜を見たい」と、のたまってあらわれたのです。

 そして間もなくして発表があり、史上最難関の国家試験に見事合格、という偉業を成し遂げた希花さんも「ようやく寝れる」と言い、今までの生活が逆転。20時間ほど寝たようです。

しかしそうも言っておられず、コーマックとのツアーが始まりました。

大泉、京都、大阪、岡崎、とまわったコーマック。あちこちで桜を見ることが出来て、いたく感動していました。

もちろん富士山もきれいに見えたし、いろいろ味にもうるさくなってきて生意気に「パックのお茶より、葉っぱを買っていきたい」などと言うようになりました。

「彼にはどっちでも一緒だよ」と少し高価なパックのお茶を持たせたのですが、今回アイルランドに行って、ブレンダン(父親)のキッチンを覗いてみると、ちゃっかりそこに置いてあるではないですか。しかも、ほとんど手つかずの状態で。

やっぱり本物の葉っぱでなきゃ、と思ったのでしょうか。彼、意外と分かっているのかな。

とに角、大泉では勿論のこと、京都でもいつもの仲間や都雅都雅、ぴんさん。大阪ではオッピドム、岡崎でもみんなにお世話になりました。

 

4月に入っていよいよ卒業式も終えた希花さん。まだまだよく眠れるようで「春眠暁を覚えず…」とはよく言ったものです。

まだ滞在していたコーマックと、お茶の水のギター・プラネットや、下北沢のラ・カーニャ、そして三島とまわってみなさんにお世話になりました。

コーマックが帰ってから僕らは豊川の里估で極上のホルモン焼き&コンサート。

 

5月には鶴ヶ峰の「陽の当たる道」で、美味しいコーヒーと音楽。そして、初めての試みで、アイルランド文学の栩木伸明先生との「アイルランド音楽とモノ語り」この会は、僕らも勉強になる素晴らしい企画になったと思います。

そして、5月の最後は生まれ故郷、静岡で、多くの旧友たちと音楽に、お話に興じることが出来ました。

 

6月には岡山から四国へ。アイルランド行きをひかえて沢山の場所に行かせていただきました。

京産大の後輩、多くのブルーグラス関係者のみなさん、お世話になりました。

その後、京都法然院での音楽会。大阪での“よいよいよい祭り”それらが終わって群馬県の妙安寺でのコンサート。これは、4月に他界した名マンドリン奏者である宮崎君がずっと大切に続けてきたものだったのです。そこに僕らも参加できたことを彼に感謝。

 

そして、2日後にはアイルランドに向けて旅立ちました。

アイルランドに関してはもうすでに沢山書いてきているので先に進みます。

 

帰ってきたのが9月18日。なんとその2日後には宮津の世屋高原に出掛けました。体内時計は完全にアイルランド仕様になっていたのですが、みなさんにあたたかく出迎えていただいて幸せこの上なかったです。

1週間あとには東京の根津教会で。ここでもセッティングから後片付けまで、たくさんのお客さん(あくまでコンサートを聴きに来てくれている人達)に手伝っていただいて本当に助かりました。

 

10月に入って大泉のスペース結で。そして三島で、久しぶりに金海君との懐かしい曲を演奏。後半には阿佐ヶ谷のバルトでフォークソング中心のコンサート。

 

11月は来日アーティストの世話で明け暮れたような気がします。先ずイデル・フォックス。コンサルティーナ奏者としての実力は言わずと知れたものですが、その止まらないおしゃべりもなかなか楽しいものがありました。

彼女との演奏は、僕らを完全にアイルランドの生活へと戻してくれたような気がします。クレアーのリズムに。

イデルと別れて、僕らは四国、徳島の北島町創生ホールへ。なかなか会うことのできない骨太の達人たちとお会いできたことは大きな収穫でした。

ほどなくしてデイル・ラスがやってきました。越谷のおーるどタイムさん、ありがとう。イデルとは対照的にもの静かなデイル。こうして文字で(カタカナで)書いてみると同じ字が並んでいることに改めてびっくり。なんの関係もありませんが、またデイルは彼らしい誠実なプレイで僕らを、そして皆さんを魅了してくれたと思います。

各地の皆さん、イデル、デイル共々僕らからも「ありがとう」を言わせていただきます。

 

12月に入ってからはまた、栩木先生とのアカデミックな会を開かせていただきました。アイリッシュ・ミュージックを演奏するうえで大切なお話を沢山聞くことができたと確信しています。

 

今現在は12月21日のクリスマス・コンサートと、30日の僕の誕生日、京都の都雅都雅でのコンサートを控えています。

クリスマス・コンサートでは友人がパンを焼いて持ってきてくれます。以前彼女の作ったパンを食べて「これは美味しい。どこで買ってきたの?」と僕もコーマックも驚いて、いくつも、いくつも食べてしまったことがあったので、今回も無理を言って、来ていただける人たちのためにお願いしました。

アイルランドの紅茶と、ちょっと珍しいコーヒー、それと音楽で楽しんでもらえたらなぁ、と思っています。

京都では40年ものあいだ家族のように過ごしてきた仲間のためにも、いいコンサートになればいいな、と思っております。

2014年、もうすぐ終わってしまいます。今年はやっぱり3か月のアイルランド生活で得たものが沢山ありました。この壮大なる伝承音楽を、心から大切に演奏している人たちとの出会いは今一度原点に帰る、いいきっかけになりました。

そして、日本でも多くの人にお世話になりました。4年前に希花が「もう一度音楽をやろうよ。あなたが持っている本物の音楽をみんなに聴いてもらわないともったいないから」と言ってくれた時、多少の迷いはありました。でも、そのおかげで昔の仲間との再会や、新たな素晴らしい人達との出会いを経験しました。

まだまだ僕らにはやらなければいけないことがあるかもしれません。いや、きっとあります。

2015年がいい年になりますように。もちろん皆さんにとっても。