久しぶりの出会い

つい先日、とある人から連絡をいただいた。かなり個人的なことなので「とある人」とさせていただくが、僕がサイモン・ラトルと親交が深いということを知ったという連絡だった。

彼は、指揮者の佐渡裕の同級生であり、ベルリンにも出向いたことがある、という話。

ベルリンのサイモン・ラトルと僕が、そして同じくベルリンで指揮をした佐渡裕が頭の中で交錯して僕に連絡をくれたのだ。

事実、彼は佐渡裕のベルリンデビューの時に招待されて行っているらしい。

僕もサイモンから招待された。と、まぁ普通に聞けば自慢話の応酬みたいに聞こえるが、彼から受ける印象は爽やかそのものだった。

といっても、彼と交流があったのは実に37年か38年ほど前。

話によると、12歳か13歳の頃、僕の家に友達と来てバンジョーを教わった、ということだ。そういうことも確かにいっぱいあったが、なんといってもかなり前のことだ。

因みにその時一緒に来ていた友人も近くに住んでいるし、一度会おうということになった。

彼曰く「おっさんになってしもたし、多分顔わかりませんよ。赤いバラでもくわえていきましょうか」

果たして結果は、ジャカジャン!

「あ、なんとなく覚えてる」これが僕の第一声だった。

それから先は音楽談義に華が咲きっぱなし。

彼等は高校時代共にブルーグラスを演奏していた。ナターシャーの昼下がりコンサートに出演したこともあり、当時の写真を持ってきてみせてくれた。

熱い熱い音楽談義。途中から希花さんも加わってB B KingからStephane Grappelli,

Tony Rice David Grisman果てはJohn McLaughlinに至るまで。

そういえば、彼は「佐渡裕を自分の車に乗せたとき、Alison Kraussをかけた途端、大きな反応があった」と言っていた。

すぐに食いついてきて「素晴らしい音楽だ」と絶賛したそうだ。佐渡裕はそれ以来、彼女の大ファンになっているそうだ。

サイモンもAly Bainの音楽について語っていたし、キャパシティの広い人はやっぱり素晴らしい。

話は尽きなかったが、終電もあるのでまた近いうちに会う約束をして別れた。

当時のブルーグラス少年たちは立派な大人となって、今また新たな眼の輝きを見せてくれた。

「何年振りだろう。ギブソンのRBなんていう言葉を発したのは」と言った彼らの笑顔が忘れられない。