先日、木内君とバンジョーについていろいろ話をしていて、5弦のボディに4弦のネック…という話をコラムに載せて、京都のバンジョー博士である(本人は非常に恐縮して、「私は博士ではありません」と、ちいさくなっているが)小野田君にでも訊ねてみよう、と書いたところ、早速小野田君からメールをいただいた。
下記のようなさすがに小野田君、という内容で非常に興味深かった。
まず、古い(戦前の)
以前、某バンジョー・プレイヤー兼コレクターの方の記事で「残念ながら5弦のネックに変えられてしまっている」ということが書いてあり、当時5弦にしか興味がなかった僕にとっては「なんにも残念なことではない」という感覚しか無かった。このことは既に以前のコラムで書いたが。
確かに小野田君の言うようにギブソンがほとんどだったと思う。
さて、アイリッシュを始めて、テナー・バンジョーに興味を持ち出し、古い安価なものをいくつか手に入れた。
Bacon, Vega, GibsonTB-100, Orpheum No1, May Bell, Paramount StyleC StyleF…当時はあまりよく分からずいろいろ試してみた。
サンフランシスコではMaxという人がParamount StyleB Kerryという人がStyleA
スザンヌという人がParamount Leaderを使っていた。様々なバンジョー弾きを見てみると、圧倒的に多かったのがClifford Essex Paragonだった。後は僕らが大学時代、関西で圧倒的人気だったFramusのテナーが意外と多かった。Mary Shannonはギブソン。アイリッシュに於いては比較的珍しい。
最近、人気を分けているのがClareenとDave Boyleだろう。これらは明らかに5弦とは異なった響きをしている。
僕は常々、同じバンジョーという楽器でありながら、5弦と4弦では全く違う楽器だという考えを持っている。
その奏法、音の出方、ことごとく違うように感じる。僕は一台、国産のあるメーカーが作ったテナー・バンジョーを持っているが、それがどうも5弦のボディをそのまま使ったらしいのだ。弾いてみると、5弦バンジョー独特のサスティーンが、いわゆるアイリッシュのチューンには適していない感じがするのだ。あくまで主観。
これが、もし小野田君の言うように良質のGibsonだったら違うかもしれないが、確かにとても手の出る値段ではないだろうし、わざわざ4弦に換装しないだろう。
さすが博士…おっとまた恐縮してしまうかも。
次に会う機会があったらもっといろいろお話を聞きたいが、僕も‘91年からほぼブルーグラス・バンジョーとはご無沙汰しているので彼の豊富な知識はかなり参考になるだろう。