そば派かうどん派か

どうでもいいことかもしれないが、よく、どんぶりものを注文するとセット・メニューで、うどんかそばが付く、というのがある。そんな時、僕は迷わずうどんにする。

そばが嫌いなわけではない。ただ単にそばよりうどんが好きなのだろう。

若いころ、そば屋の前を通りかかるとカツオをふんだんに使った「出汁」のにおいがして、それが苦手だった。

考えてみればうどんも同じかもしれないのだが。

思い起こしてみると、大体、そば、うどんのたぐいはあまり食べなかったのだ。

坂庭君はそば、うどんには眼がなく、どこへ行っても食べていた。大体僕らはほとんど全てにおいて逆だった。

僕は洋菓子、彼は和菓子。僕はパン、彼はそば、うどん。僕はフィンガー・ピッキング、彼はフラット・ピッキング。

話はそれたが、どうもざるそばというのは量が足りない。どこか由緒あるそば屋に連れて行ってもらっても、あっと言う間になくなってしまう。

その辺の切なさ、わびさびの世界がいいのかもしれないが、僕にはその感覚があまりないのだろう。

また坂庭君の話だが、彼はよくこう言っていた「いいかじゅんじ、何を食べたかしっかり覚えておかないと、それは食べなかったことになってしまうんや」彼はツァーの最中でも朝、昼、晩としっかり食べるようにしていた。

しかし、それは彼の歯がとても悪かったせいもあるかもしれない。一回、一回の食事は彼にとって物凄く大切だったのだろう。好き嫌いもあったし。

僕の方は、歯医者などという面倒くさいものには関わったこともないし、好き嫌いもないので、いつ何を食べても美味しく、食べるということに無頓着だったのだ。

彼と一緒の最後のコンサート。リハーサルが終えていつも行くうどん屋に行ってカレーうどんを頼んだが、彼は1本しか食べることができなかった。

僕は天丼だったので、のこりのカレーうどんは僕が平らげた。よっぽど具合が悪かったのだろうが僕の方は平静を装って「うまいなぁ」と言って全部食べた。

今でもカレーうどんを食べるとその時のことを想い出す。

うどんのなかでもカレーうどんは好きだ。かきあげうどんもいいかな。しかし、やっぱりそば、というものにはあまり手が出ない。

名古屋に行けば味噌煮込みうどん、四国に行けばぶっかけ。僕もあんまりあれやこれや試さないほうなのでレパートリーは少ない。

もし、どうしてもそばを食べるのなら天ざる、だ。多分温かいそばが苦手なのかもしれない。でもコレステロールのことを考えたら、天ぷらは控えたほうがいいだろう。

そうなると、素うどんか…ざるそばしかなくなってしまう。でも困ったことに僕はそういったものよりもパン類のほうが好きなのだ。