2015年 アイルランドの旅 12

Tune In The Church出演の合間をぬって、Miltown Malbayに出かけた。

Willie Clancy追憶のための、アイルランドでは最も大きなフェスティバルのひとつ、と言って良いだろう。

世界中から、この小さな村目がけて多くの人が訪れるので、数多くあるパブは全てが身動きの取れない状況となる。

僕らの目的は、数人の知り合いと会う事。特に先日、日本で一緒だったイデルには、自分の生まれた所だし、クラスで教えているから是非来てちょうだい、と言われていた。

もちろん、僕らも初めて訪れるわけではない。過去にジョン・ヒックスと再会したのもここだ。

とにかく、パブには入る事が不可能なくらいの人が集まっているし、しばし、200メートルほどしかないこの村の道路を行ったり来たり。

ロン・カヴァーナと、それに驚いたことにサン・フランシスコでよく一緒にやったケイティという女の子が声をかけて来た。

彼女、あの時は23歳だったと言っていた。あれからもう15年経つらしい。

キルフェノラの彼女の実家にアンドリューと泊まって、ダブルベッドで夜中までキャッキャッ言って騒いでいたら、彼女のお母さんが「あんたたち、まるで兄弟みたいね」なんて言っていた。

僕らはしばし、比較的広くて空いているレストランに入って(基本的にレストランではセッションは行われていないので)時を過ごす。

イデルも忙しい中、顔を出してくれるが、すぐまた行かなくてはならないから後で連絡してね、と、相変わらずニコニコしていた。

そのうち、もうひとり連絡を取り合っていたジョセフィン・マーシュが駆けつけてくれた。

さぁ、やりましょう、と早速アコーディオンを出す。

お店の人も大歓迎だ。

近くにいた小さな男の子(10歳くらい)もアコーディオンで加わるが、真面目な顔をして、限りなく本物のトラッドを演奏する。彼の演奏と表情からも、この音楽に対する敬意が感じられる。やがて彼の妹もコンサーティナで参加。素晴らしいセッションとなる。

ジョセフィンと1時間ほど一緒に演奏をして別れた後、イデルから、彼女が全ての仕事を終えて、家族で食事をしているから、そこに来てちょうだい、と連絡が入った。

そして、レストランのオーナーがここでやってもいいって言っているから一緒にやりましょう、と促され中に入る。

これがベストだ。地元の名のあるミュージシャンと共に静かなところで、ちゃんとした音楽ができる。

ともすれば騒がしいパブでは聴き取れない音がきちんと聴こえる。

彼女も30分くらい、と言いながら止まらない。

日本に来た時仲良くなった“たけちゃん”の写真を、家族や友人達に「この人最高に面白かったわよ。すごくいい人」と言いながら見せて回っていた。

どこまでも明るくていい子だ。

結局1時間ほど一緒に演奏して別れた。

今回のMiltown Malbayの目的は、ジョセフィンと会う事と、イデルと会う事だったのだが、その両方とも果たされたわけだ。

僕らを、中継地EnnisからMiltown Malbayに連れて行ってくれたアイルランド在住の赤嶺“フー”さんに感謝。