2015年 アイルランドの旅 20

さて、次の日。
昨日は清々しい青空で、やっと好天に恵まれたと感激したものの、今日は一変して小雨がぱらつき、空はどんよりした雲に覆われている。

これじゃ山は無理だろうと思いきや、朝、早速メールが来た。

「俺たち今から支度するから20分くらいで迎えに行く」登る気満々だ。

実際、彼ら曰く、300メートルくらいの山で、老若男女がこぞって登るらしい。

信仰深い人達は裸足で登る、とも言っていた。

彼らはしっかりしたブーツを履き、ダウンジャケットに身を包んで登場。一応僕らのために同じようなジャケットは用意して来てくれたが、今日は天候もそんなに良くないし、山だけ見て君たちはウェストポートにでも行っていたら後でピックアップしてあげるよ、と言う。

実際、ウェストポートを抜けて更に15分ほど走ると山の麓に到着する。ゴルウェイから2時間ほどドライブして、ウェストポートに到着。更に15分ほど走ってまたウェストポートに戻り、僕らを落としてくれて、山に戻るという。

彼らにとっては大した距離ではないのだろう。

山は確かに荘厳な雰囲気を漂わせ、子供から老人まで多くの人達が登って行くのが見えた。

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Croagh Patrick

 

雨も上がってきたようだが、霧がたちこめている。

ウェストポートで僕らを落とした後、そんな山を目がけて兄弟仲良く意気揚々と出かけて行った。

一方、僕らはしばしこの可愛らしい小さな町を散策する事にした。

ここには、有名なMatt Molloyのパブがある。言わずと知れたチーフタンズのマット・モロイの店だ。

そこだけでなく、パブは数限りなくこの小さな町に存在するが、そのどこでもLive Trad Musicという看板を掲げている。

お腹も空いてきたので、食事をすることにしたがちょうどお昼時を少し過ぎたくらい。

どこも家族連れや旅行者で盛り上がっているように見える。おしゃれな店も随分多い。

沢山見て回ったが、Mill Times Hotelというところが目についた。どうやらベストフードのアワードを何度か取っているらしい。

おそるおそるメニューをチェックするものの、そんなにべらぼうな値段ではないようだ。

アイルランド人の言う“ベストフード”というのも怪しいものだが、とりあえずお腹も空いているし、あまり高くないので入る事にした。

僕がシーフード・チャウダー、希花さんがチキンのホワイトミートをベーコンで巻いたものにグレイビーソースがかかっているものをオーダーした。

やがて隣の老夫婦に運ばれて来たディッシュを見て「おっ。あれはなんだろう」と思ったが訊いてみるわけにもいかない。僕一人だったら訊いたかもしれないが、見た感じ奇麗に盛りつけられてあり、とても豪華だ。

しばらく待っているとチャウダーが登場。これが実に美味しそうで量も決して少なくない。パンも美味しそうだ。

ほとんど同時にチキンもやってきた。隣の老夫婦と同じディッシュだ。

こちら、もう中川イサト師匠化して、ついつい写真を撮りまくってしまった。

そして、その味はさすがにベストフードと言われるだけのことはあった。珍しくアイルランドの外食で満足のいくものに巡り会え、大感激。

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デザートまで頼んでしまった。

後はまた町を散策して待ち合わせのパブに入り、ギネスを飲んで彼らを待つ事1時間程。あまり食事が美味しかったこともあり、3時間近く食事と周りの料理の見物で1カ所に留まってしまったのだが、退屈もしなかった。

彼らは6時頃戻って来た。山に登り始めたのが2時頃なので、大体彼らが言っていた時間通りだった。

アイルランド人としては珍しく時間に正確な人達だ。

山は霧がたちこめて寒かったらしいが、二人とも大して疲れた様子もなく、非常に清々しい顔で「今回は天気もあまりよくなかったし、それに今度はちゃんと着るものを用意して一緒に登ろう」と言ってくれる。

是非そうしたいものだ。彼らに感謝。

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