2016年 アイルランドの旅 10

7月も後半に入ろうとしている。今日からキアラン君はブリタニーに向けて旅立つ。

数日前からその用意で大忙し。というか“ワクワク”なのだ。今回は彼の面白い行動を書いて終わりそうだが、本人はいたって真面目だ。いや、だから面白いのかも。

やらなくてはいけない事を紙に書き出して「これでオーケー」と大満足したが、前日の朝に「どれが済んだ?」と訊いたら14項目のうちの2つくらいなのだ。

4日ほど前に書き出したのだが、キャンプをしたいからと言って、6年も出していないテントを引っ張り出してきて庭に張ってみたりしているのだ。

6年も出していないのだから一応隅々まで見てみないといけないことは確かだ。

もちろんギグで行くのだから泊まる所はあるが、時間が多少あるので外で寝たいそうだ。

めでたくなんの問題もなく張れたテントを嬉しそうに眺め「ちょっと来て寝てみろ。いいだろう。ワクワク」
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車の中、マットなどを引っ張り出して大掃除。

コインや食べ物のかす。わけのわからない紙切れの数々。掃除機を出してきて、ぼくらも手伝って大掃除。

希花さん曰く「どうせまたこんなんになるのに。意味無くない?」本人は「おー、綺麗になった。ワクワク」

なんだか布団を引っ張り出してきて「見て見て。雨がふったらこうして車の中でも寝れるんだ。ワクワク」

他にもやることがいっぱいあるだろうに嬉しくて仕方ない様子だ。

とはいえ、9時過ぎても日本の夕方くらいに明るいので時間はいくらでもあるような感じがするのだろう。

実際、飲みに行こうか、というのも10時過ぎくらいからだ。この立て込んだ時でも「町まで行っていっぱいやろうか」というので「いや、君には時間がない」というと「あ、そうだった」と言ってなんだかまたごそごそ動き回っている。

「ちょっと見てくれ。こんないいものがあるんだ」と言って持ってきたのは、ごく普通の両面テープ。

「ここを切ってまず貼ってからこうやって剥がす。素晴らしいだろ。ワクワク」

「そんなもの100円ショップ行きゃ腐るほどある」というとさすがにがっかりしたのか、すぐにしまっていた。なんとも可愛いところがある。

前日(18日)に彼の友人の母親が亡くなったのでそのお葬式があった。彼も友人たちと、音楽で故人を見送ったようだ。

全てが終わった後、友人たちを家によんで紅茶をのみながらしばし時を過ごした。

こんなに忙しい時でも時間を気にしている様子も無く、みんなと一緒の時を大切にする。事が事だけに尚更そうだが、どんな時にでも友人や家族との時間を大切にするのは素晴らしい事だ。

だからどんなに忙しい時でもパブに行って飲む時間だけは作るのだろう。そこには必ず友人たちとの語らいの時があるのだ。

それは彼らにとって、いや、ひょっとしたら僕らにとっても、何ものにも代え難い大切なものなのかもしれない。

かくして、車への積み込みは昨夜行うつもりがこれから。まだ寝ているけど大丈夫だろうか。

そういえばこんなことも言っていた「明日は出かける前に美味しい昼飯を作るぞ。ワクワク」実際けっこう料理好きらしく、なかなか素晴らしいパスタを作ってくれるのだが、いかんせん時間が…。

昨夜も2時近くまでソワソワあっちいったりこっちいったり。

「新しいブレットンの曲を覚えなくちゃ。全くどこも同じようなメロディで困っちゃうよ。ワクワク」

もう心はブリタニー。なんだか可愛らしい。お、シャワーを浴びている。良かった、起きたようだ。