7月、アイルランド遠征直前

恒例のアイルランド行まであと8日ほど。もう6年間ずっと、ほとんどが6月半ばから9月半ばまでという期間であった。

しかし、今年は様々な事情で7月を日本で過ごすこととなったのだが、ただひたすら暑い。

体中に湿気がまとわりついている。

耳も良く聞こえないし、眼も開きにくい。いや、歳のせいだけではなさそうだ。

希花女史も「耳にカバーがされているようだ」と言っている。

このような環境の中で、本来、楽器の持つ最善の音を導き出すことが非常に困難だと感じてしまうが、やはり和楽器には良い環境なのだろうか。いや、必然的にそうなるのだろう。

耳が塞がれているような感覚という、自分たちの体の状態もさることながら、楽器も鳴りにくいのではないかと感じてしまう。特に洋楽器にはそれを感じる。

そしてよく聞こえない、というのはやはりしんどい。政治家などは「聞かない」というところに重点を置いているようだが。あ、この話には関係ないか。

しきり直して、確かに音の届き方の違いというのは海外に出た経験のある音楽家の全てが口を揃えて言うことだ。

僕も砂漠のど真ん中で、グレイトフル・デッド、サンタナ、デビッド・リンドレーの想像をはるかに上回るジョイント・コンサートに出掛けて行ったのだが、それは強烈なものだった。

カラカラに乾いた空気の下、何百メートルも離れた場所からも、ひとつひとつの楽器の音がかなりクリアーに聴こえてくる。

いろんな要素があるのだろうが、やはり空気感が違うのだろうか。

だが、たまに日本でもかなり低い湿度を計測することがあることを考えると、そのことだけではない、ということも何となく分かるような気がする。

アイルランドの夏は、あれだけ雨が降る国なのに乾燥していて、実際の温度よりも寒さを感じる。

冬には湿度を感じるせいかビュービューと吹く冷たい風の中でも、日本の“刺すような”寒さというのはあまり感じない。

楽器が良く鳴るような気がするのは建物の造りのせいも多分にあるのかもしれないし、自分の気の持ちようでもあるのかもしれない。

とにかく、もう少しでまたアイルランドだ。

帰ってきてもまだめちゃくちゃ暑いんだろうなぁ。