2017年 アイルランドの旅 17

828  (月)曇りのち晴れ。気温18 8時起床。 体感気温というのを調べて見ると今晩は6℃だそうだ。

今日はミッシェルが僕らをケビン・バークの弟、ノエルのところに連れて行ってくれる。

ノエル・バークはバイオリンの弓作りで今や世界中に名の知れ渡っている人物だ。

ミッシェルもノエルもカーロウに住んでいる。

彼の弓を一度でも使って弾くとその素晴らしさにノック・アウトされるという。少なくともそういう人が世界中にいっぱいいるらしい。

しかしそれだけに値段も半端ではない。

と言えども、クラシックの世界では弓だけで100万、200万は当たり前のことだろうが。

僕のピックは100円もしないのに。弓は楽器なのだ。

彼の工房でしばし歓談し、ミッシェルの家に立ち寄って紅茶とクッキーでしばし歓談して帰って来た。

家に着いた途端に少し雨が落ちて来た。

829  (火)曇り。8時起床。現在の気温は11、半袖ではちょっと寒い。早い時間は雨が降っていたようだ。

いよいよ帰りの準備を始めなければいけない。

庭を見ると、すっかりここの住人になったようなニワトリが座っている。そろそろ抜けるべき羽は全部抜けたのだろうか。

どこか落ち着いた表情だ。そんなの分かるか?

今夜はキアラン君とバンジョー大好きおじさんのジョンが僕らをレストランに連れて行ってくれるらしい。

ただ、どちらも忙しい身なので、テイクアウトの方がいいだろうと思いながら、いや、アイルランド人は話好きだから家で落ち着いたりしたら

4~5時間経過するのは当たり前のことになってしまうので、出かけて食べてさよならした方が賢いかもしれない。

以前、テイクアウトしたインディアンが美味しかったのでそこに行くつもりでいるみたいだ。

昔、友人がインドに行った時、電報を打つのに3時間ほどかかったという話がある。

目の前に局員。客は彼一人。局員は紅茶を飲みながら3時間「No Problem」と言い続けていたそうだ。

そういえば、全くお客さんがいなかった前回もテイクアウトで30分待たされた。

時間の感覚のないアイルランド人と時間の感覚のないインド人との組み合わせは、まるで地球が回っていないかのような錯覚に陥る。

僕は、持って帰って来たメニューを見て、今晩注文するものはもう決めた。

出かける20分くらい前に注文しておいた方が時間の無駄は省けるかもしれないが、そんな時に限って5分で作ったりしやがる。

こんなことを考えながら1日を過ごすのは無駄だ。

僕はちょっと困ったことがあるとなかなか寝られないのだが、希花さんはこう言う「考えてもどうしようもない時は考えるだけ無駄だから寝た方がいいんじゃない?」

確かにゴールウエイの友人のアパートの入り口のドアが開きにくかった事や、洗濯をするタイミングはいつが最適か、掃除はしたいが、ここの掃除機はちゃんと動くだろうか、なんていう結構どうでもいいことでも眠れなくなってしまう。

極めつけは、エレベーターのドアが開いたその隙間に手に持っていた鍵が落ちるんじゃないか、と心配になること。希花さんは「そんな事あるわけないじゃん」と言ったが、ある日アパートの掲示板にこんな張り紙があった。

「最近、エレベーターの隙間に鍵を落とされる方が増えています。気をつけてください」それを見た希花さん「みんなアホか」

ま、性格だろうな。

明日はダブリン。バスはちゃんと時間通りに来るだろうか。いや、彼らはやる時には誰よりも一発入魂に動く民族だ。ちょっと大げさかな。

晩御飯は予定変更になり、去年レギュラーで演奏していたホテルでジョンと4人でワインをしこたま飲みながら。と云えどもアイリッシュには通常の量だ。

すっかりお腹一杯になり、酔っぱらって帰って来た。

ジョンがご馳走してくれた。

そしてキアラン宅でしばらくチューンを弾いてまた酔っぱらい運転で帰って行った。今度は何も忘れていかなかった。