8月23日(木)曇り。早朝、と言っても8時過ぎの電車でダブリンに向かう。やっぱり少しは混んでいる。今、ダブリンにローマ法王が来ているらしいが、そのせいもあるんだろうか。ダブリンに勤めている人もこの時間だったら多少は居るのだろう。
僕らはヒューストン・ステイションでノエルと合流する予定だ。
電車は時間通りに着いて、ノエルも「コニチワ!」と時間通りに現れた。
それから彼の友人の家で、美味しい魚料理をご馳走になったのだが、ノエルとその友人が手際よくクックしてくれた。
見る限りノエルはかなり料理することに慣れているようだ。包丁さばきも手際も素晴らしいものがある。シェフとしても十分な腕前だ。
そしていよいよカウンティ ダウンに向かう。
行き先はダウンパトリックという海に近いところでストラングフォードという村。
ここに昔からのノエルのコンサーティナの生徒さんが住んでいて、一度は来て欲しい、と頼まれていたらしい。
なのでノエルも初めて。ダブリンから休憩も含めて約3時間。
着いたところを見てびっくり。森の中にあるお菓子の家の童話を思い出した。
とんでもなく広い敷地は森になっていて1600年代の教会がひっそりと建っていて、森の中を歩くと湾が見えて、対岸の綺麗な家並みが見える。そんな中に大きな家が建っている。
本当に住居なのか、ひょっとしてリゾートホテルなのか、はたまたおとぎの国に迷い込んだのか、と思わせるくらいの今まで見た景色の中でも強烈なものだ。
自然のものをいっぱい取り入れたここの夫婦はイギリス生まれの(奥さんはウェールズが入っている)穏やかな、まさにここの住人という感じの人たちだ。
僕らは森の中の教会で演奏する。
そんなに大きくなく音も限りなくよく響く。
時間になると多くの聴衆が訪れた。だいたい70~80人くらいで、もう座るところがないほどだ。
僕らは1時間半ほど演奏して大いに盛り上がった。
終了後はお客さんも交えて、大ワイン大会。もちろんギネスも。ほぼ満月という月を森の中で見ながらワインを飲む。
寒いくらいに涼しくて、遅くから始まったブレットンの音楽に合わせながらみんなが踊る。僕らはひたすらワインをいただく。
ちょっとお腹が空いたので母屋まで森の中を歩いて行って、晩御飯にいただいた手作りパンの極上の味を再び楽しむ。
そんな素晴らしい一夜を過ごさせてくれたノエルと、ここの人たちに感謝。
8月24日(金)晴れたり降ったり曇ったり。
ダブリンに戻る。気持ちのいいい庭でまたワイン。少し寒い。ノエルがまた今度はタイカレーを作ってくれた。素早いクッキングでとても美味しかった。
食事の後みんなでウィリー・クランシーやシェーマス・エニス、トミー・ポッツなどを聴いて様々なことを語り合った。
アイリッシュミュージックにおいて最も大切な、通らないわけにはいかないシーンがそこにあった。
こんな経験ができることの幸せに感謝。今も彼らの胸から湧き出てくるソウルフルなサウンドに心を惹かれている。