2018年アイルランドの旅 33 ダブリンに向かう。最終回

916日(日)曇り。昨夜は遅くからすごい雨と風だった。

明日、ダブリンから香港に向かって発つのでこれで一応の最終回。アンコールは次の機会に、ということで、今年もまた様々な刺激を受けた。

しかし、その刺激はもはや日本という国で活かせるかどうか微妙なところだ。

昔はそういう刺激的なものは現地でしか味わえなかったものが今ではどこにいてもそれなりの気分は味わえる。しかし、どう転んでも現地でしか感じることができないものもある。

僕らは2011年からアイルランドで演奏をしてきているが、例え夏の間だけにしても現地でしか経験できないことが多くある。そしてそれはミュージシャンという立場から、趣味とかパートとかではない立場からしてみるとなおさら重くのしかかってくる事実だ。

音楽を気楽に楽しめればいいのだがここまで深く関わってくるとやっぱり「これってどうなんだろう。果たして日本人なんかが気楽に覚えて帰って、現地ではなんて言って教えたりしていいもんだろうか」と考えてしまう。

もちろん教えることが好きな人、また上手い人というのがいることも確かだろうけど、どれだけディープな世界を伝授できるかが疑問だ。

そんなに深く考えなくてもいいのかもしれないが、そこが「これで飯を食っている立場」としては微妙なのだ。

眠っている時以外で考えていることは「この曲とこの曲をつなげたらいいんじゃないか。あの曲は最後どうやって終わるんだったか。タイトルはなんだったか。誰か作った人がいたかな。どんなストーリーで生まれた曲だろう。あのハーモニーは綺麗だったな。」他、そんなことばかり考えている。

その上、最近はまたオールドタイムにも一段と興味が湧いてきて、また大学時代、1960年代に戻ったような感覚がある。

1971年からミュージシャンとして生活してそれから20年(1991)してアイリッシュ・ミュージックの世界にどっぷり浸かるようになって、それからまた20年で(2011)こうしてフィドル&ギターのデュオとしてアイルランドで演奏をしている。

随分とディープな世界に入ってしまったが、また来年ここに戻ってきても初心に帰れるようにしたい。

人間にとって一番大切で一番難しいことだろう。

しかし、それがこちらの一流ミュージシャンたちを始め、音楽を愛する人たちに感銘を与えることができる秘訣かもしれない。

お世話になった多くの人に感謝。

キアラン君、たくさんお世話になって、たくさん笑かせてくれて大感謝。

僕らはこの国の音楽を愛してやまないが究極「アイルランドのアイルランド人によるアイルランド人の音楽」という気がしてならない。

それだけに多大なリスペクトを惜しまずにはいられない。

ポールズタウンまでれいこさんに送ってもらって、ダブリンで洋平くんと少しだけ飲んで、明日の朝出発する。

これで今回の旅は終わり。

2019年はどんな旅になるだろうか。