友人がパブの入り口でゆったりと椅子に座って飲んでいた。
時刻はお昼の12時をちょっと回ったところ。元々赤い顔が真っ赤になっている。
僕を見つけるなり「お、ジュンジ、ちょっと座れ。なに飲む?ギネスだな」
こうして買い物帰りだった僕にとっての予定になかった一杯とお話が始まる。
でも、やっぱり良いものだ。
ちなみにこの友人の名前はユジーン。いや、本当です。
同じ日、時は移って午後5時半頃。
別な用事で同じ道を歩いていると、驚いたことにまだユジーンが飲んでいるではないか。
同じパブ、同じ席で。
しかし今度は周りにたくさん飲んでいる人がいたので上手いこと気がつかれないようにして帰ってきた。
いったい何杯飲んでいるんだろう。
おそらく11時頃から18時くらい、いや、今はまだ暗くなるのが遅いのでひょっとすると、もっと長居するのかもしれない。
もうあそこ、うろうろできないなぁ。逆に飲みたい時、手ぶらで行ったらいいか。おいおい!
アイルランド人には心臓疾患とかが多いので、ペースメーカーなど埋め込む技術もかなりのものらしいけど、
やはりそれで死ぬ人も多い、と聞いている。
でも、結構長生きの人も多いのはストレスを抱えない生活によるものじゃないか、とユジーンが言っていた。
彼はもうリタイアしている人だけど、そうでない人も必要以上に仕事やお金のことは考えず、パブで楽しく飲んで一生を終えることができたらどんなに幸せだろうか、というのが基本的な考えなのかな。いや、決してそんなことはわざわざ考えないだろう。
「あなたにとって音楽とは?」「え~と…考えたことないな」マーク・ドネランの言葉そのものだ。