イスラエル

アメリカにいた頃、お隣さんがオーソドックスジュ―、いわゆるかなり敬けんなユダヤ教の家族だった。

親しくしていてお互いの家にも行き来があったが、その生活パターンの違いには驚かされたものだ。

土日は安息日。郵便が来ても決して開かない。

外食は一切なし。今日、美味しいものが有るけど一緒にどう?と言うと「匂いだけかがせてね」と言って玄関先でそれだけで満足して帰って行った。

コンサートなどにも決して行かない。

よく、僕が練習していると、嬉しそうに聴いていて、聞こえてくるものは決して拒否しないけれど、自分から出かけて聴きに行くことは無い、と言っていた。

ご主人はフォトグラファーで、僕がアメリカでリリースしたアルバム「サリー・ガーデンズ」のジャケット写真、それとバンジョーアルバムのライナーノーツの「Tree of Israel」というのも彼の作品。

彼のお葬式は僕にとって初めてのユダヤ教のもの。棺に土もかけた。もう何年も前のことだ。

今回の事が勃発した直後、彼の奥さんからの話を聞いた。

アメリカに住む多くのユダヤ人は歳取るとイスラエルに帰るらしい。その辺は日本人にも共通したところがあるのかもしれない。

彼女も今はイスラエルに住んでいるらしい。確か娘さんがいたよね。どうしてる?と訊くと、もう5人も子供がいる、と言うから驚きだ。

僕が知っていた頃は15~16歳くらいだったかな。そして彼らもイスラエルに住んでいる。そして、ご主人は兵役に取られたが、情報収集の部署なので今のところ前線には行っていないそうだ。

もう一人の友人の息子は兵隊として出向いていたが、5人ずつのグループに分けられて前線に送られるそうだ。

彼はちょうど期間的な理由でイスラエルに戻って来たらしいが、その直後、彼の5人のグループ、多分一人補充されたのかもしれないが、彼らが前線に送られたらしい。

そして全員がすでに戦死。いったい何を言ったらいいのだろう。

余りにも長い歴史の、僕らには理解できない世界の事なので何も言う事が出来ないが、本当に無駄なことだし、世の中の指導者たちは本物のバカだな、と思うしかない。

他に考えなくてはならないことがあるだろうに。

彼女の話を聞いて、本当に心が痛んだ。どちらが悪いのかもよく分からない。でも、彼女は言っていた「首を切られても手足を切られてもユダヤ人は屈することはない。ユダヤ人は強い!」

もしかしたら「それでも神風は吹く」というのと変わりないのかも。そしてイスラム社会はまた別な強さも持っているのだろう。

どちらにせよ、それらの精神を,、強さを何とか地球存続のために活用してほしいものだ。